豪州クック産業・科学・技術大臣との懇談会(座長 中村国際産業協力委員長/7月13日)
オーストラリアの最重要課題は経済構造改革
オーストラリアのピーター・クック産業・科学・技術大臣が経団連を訪れ、中村国際産業協力委員長(三菱自動車会長)ほかと懇談した。クック大臣は、オーストラリアの経済構造改革が成果を上げ国際競争力が向上している、APECの推進に経済界の力を期待しているなどと述べた。以下はクック大臣の説明の概要である。
- 労使問題
- オーストラリア連邦政府は労働争議の抑制と労使間協調の促進など労使問題の改革に取り組んできた。その成果として94年の労働争議発生率は1940年以来の低い水準となった。
- オーストラリア政府とオーストラリア労働評議会はインフレ抑制を目的に、むこう3年間の賃金引上率を年率2〜3%にすることで一括合意した。
- 経済構造改革
- オーストラリア政府は83年から経済構造改革を行なっており、その一環として保護関税を引き下げ、国内産業の国際競争力強化に努めている。
96年には、(1)繊維・衣料・履物、(2)自動車、の2業界を除いて関税率を5%にする。例外の2業界は2000年までに15%にする(現在自動車の関税は27.5%)。
- 関税削減は国内経済改革の機動力のひとつであり、国内産業の発展を阻害しないよう適切な速度で行うことが必要である。
- 各州政府レベルでは、独占的な公的部門への競争導入など、競争政策の強化にとりくんでいる。
- オーストラリア経済情勢
- オーストラリアの1994/95年の成長率は4.75%程度である。15四半期連続で経済成長を遂げている。1995/96年の成長率は 3〜3.75%と予想されており、国際的にも高く、オーストラリア経済の継続的成長にとって望ましい水準である。
- 製品・サービスとも輸出努力がなされており、輸出品目の多様化が進んでいる。また、技術開発に力を入れており、公的部門の技術開発投資額はOECD諸国中で4番目に多い。また、従来少なかった民間の開発投資も急速に増えている。
- その他
- APECの真の目的はビジネスの活性化である。APECへの経済界の参加が求められており、PBFは意義ある組織である。
来年大統領選挙に入るアメリカは内向きになることが予想されるため、今年の大阪会議での政府間交渉が重要となる。政府と異なり、国内政治に拘わらず一貫してAPECを推進する強さを持っている経済界に期待したい。
- 日米自動車交渉を注視している。無条件MFNは今日の国際経済において不可欠であり、この意味で交渉中の日本の姿勢を支持してきた。
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