今後の日米協力を考える部会(部会長 上原 隆氏)/7月7日

日米自動車交渉で合意されたもの


日米自動車交渉は、対日制裁発動期限を目前に6月28日、合意に達した。実際に交渉に携わった通産省通商政策局の豊田米州課長は、数値目標をあくまで排除し、無差別原則などWTOルールに基づく交渉ができたと評価した。そして今後の日米交渉は産業間のコミュニケーションを基本とすべきこと、日本側としては市場の透明性を向上させる必要があることを強調した。

  1. 交渉の経緯
  2. 6月22日からジュネーブで次官級協議、25日から閣僚交渉が開かれた。数値の扱いをめぐり交渉が難航し、交渉当事者にも先行きの見通しは立たなかったが、28日、突然米側が譲歩案を提案してきたのを契機に、他の問題についても急速に合意がまとまった。

  3. 合意の内容(表参照)
  4. (1) 自動車・同部品
    自動車産業の4原則(世界化・現地化・産業協力・透明化)を確認するとともに、日本メーカーによるグローバル計画を歓迎し、米国メーカーの努力表明を評価した。
    別立てで示された数値は、日本メーカーのグローバル計画に基づきUSTRが見積もったものであり、日本政府は関与しないことが明記された。

    (2) 外国車ディーラー数の拡大
    共同発表には、日米双方のメーカー・業界の努力表明に対し、歓迎の意が示された(数値は米国政府のみの予測)。

    (3) 補修部品
    整備工場の人的要件・施設要件の緩和などが合意された。日本は、検査・整備の分離要求を、安全性の観点から拒否した。

    日米自動車合意関連文書

  5. 交渉の評価と今後の課題
  6. アメリカは、通商法301条がWTOパネルでクロ判決を受けることを恐れ、態度を変化させたと見られる。WTOのルールに基づく交渉により、数値目標を排除した合意に達したことは、評価に値する。
    今後、フィルム、半導体、航空などの問題が控えているが、産業間のコミュニケーションを基本として解決すべきである。その前提として、日本市場の透明性の向上が、外国企業を満足させるために不可欠であろう。


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