第43回北海道経済懇談会/7月25日

21世紀に相応しい北海道経済の構築にむけて


北海道経済連合会と共催により、標記経済懇談会を札幌市において開催した。「活力と創造性あふれる経済社会をつくる」を基本テーマに、これからの経済社会づくりへの重要課題、21世紀に向けた国土づくり、社会資本整備と地域の連携、新産業の育成と産業構造の高度化等をめぐって意見交換した。
当日は、北海道側から林北海道副知事、戸田北海道経済連合会会長ら地元経済人約200名が、経団連からは豊田会長、久米・鈴木・関本・末松・青井・高丘の各副会長が出席した。

  1. 戸田北海道経済連合会会長開会挨拶 〔北海道電力会長〕
  2.  戸田道経連会長

    経済社会環境が激変し、新たな発展段階へ向けた模索が続くなか、道経連では「21世紀に向けた北海道の指針」をとりまとめ、今後の北海道の役割として、

    1. 北の国際交流拠点として日本の国際化や国際貢献の一翼を担う、
    2. 恵まれた自然や広大な土地を活かし新たな産業創出や食料の安定供給に貢献する、
    3. 豊かな自然環境をもとに国民にゆとりと安らぎを提供する、
    等をあげている。
    北海道の発展のためには、北海道の経済人が、自立意識を高め、開拓精神を奮い立たせることがが重要である。

  3. 林北海道副知事挨拶
  4. 北海道経済の活性化には、ゆとり、潤い、健康等の国民のニーズに対応する新産業・分野(例えば、医療、福祉、文化、情報通信関連)の創出が重要である。また、食品、木材等の地方資源型産業が過半を占める製造業の産業構造の高度化を進めたい。併せて、企業と大学との共同研究、次世代技術の促進、研究開発拠点作りに取り組みたい。
    行政としては、道経連が作成した「21世紀に向けた北海道の指針」を最重要課題と考えており、新千歳空港を核とした国際空港の整備、交通体系の整備等を通じ、産業の一層の活性化に務めたい。

  5. 懇談
    1. 新たな時代へ向けた経済社会の創造

      樫原 泰明氏

      〔北海道経済連合会副会長/伊藤組会長〕

      北海道経済は、資源供給地として開発が進められた結果、1次産品を素材とする加工業が中心となり付加価値が低い。しかし、農林水産資源を基盤とした高付加価値化への取組み、情報通信関連産業の集積、産業基盤整備や企業誘致努力の結果、加工組立型や技術先端型産業、民間研究所などの立地が活発化しつつある。新たな時代へ向けた北海道経済社会を創造するには、

      1. 過去に蓄積した技術・ノウハウを活用した地場産業の高度化とニュービジネスの創出、
      2. 研究開発型産業の育成・誘致および大型実証実験施設や研究開発機関等の国家的プロジェクトの誘導立地(例えば、国際熱核融合実験炉〔ITER〕)、
      3. 創造的人材の育成、
      が重要と考える。

    2. 新しい全総計画への期待

      堀 寛氏

      〔北海道経済連合会副会長/北海道銀行取締役相談役〕

      本年4月に道経連がまとめた「21世紀へ向けた北海道の指針」では、特に以下の点について考慮するよう求めた。

      1. 東京など大都市圏に集中している諸機能の分散を思い切って進めるべきである。
      2. 北海道、東北広域交流圏の形成に向けて、高速交通網等の社会資本整備を国が責任を持って行うべきである。
      3. 新千歳空港を方面別ゲートウェイとして整備することにより、わが国の国際交流機能の一翼を担えるようにすべきである。
      4. 農地や農産物などの国土資源の適正な管理のあり方について議論すべきである。
      5. 東京から仙台を経て札幌に至る「ほくとう新国土軸」を、わが国の新たな発展のために全総計画に位置づけるべきである。

    3. 新時代を迎える空港整備への期待

      三上 顯一郎氏

      〔北海道経済連合会常任理事/北海道空港会長〕

      グローバル化の進展の中で、本年5月に経団連がとりまとめた「今後の空港整備のあり方−大規模拠点空港に重点を置いた空港整備計画の策定を求める−」は時宜にかなったものであり評価できる。
      新千歳空港は低コストで拡張が可能であり、増大するわが国の航空需要に鑑みれば、その果たす役割は大きい。現在政府で検討中の第7次空港整備五箇年計画においても、新千歳空港が方面別ゲートウェイ空港として位置づけられ、引き続き機能拡充が行われるよう経団連の支援を得たい。

    4. 農業を含めた産業構造の変革

      種田 泰典氏

      〔北海道経済連合会食料関連産業委員長/雪印乳業顧問〕

      北海道の産業構造を高度化し、経済の自立を遂げる観点から、気候、風土が似ているフィンランドの産業高度化の事例が参考となると思われる。
      フィンランドでは、まず比較優位性を有する産業を選定し、その高度化を図ったうえで、その関連産業を誘致し、集合体としてさらに集積を進めていくという「産業クラスター」という手法を採り入れている。 北海道では、既に低コスト化が進んでいる農業を中核産業とし、農業機械、食品加工などの関連産業の集積を図る「農業クラスター」の構築が考えられる。
      そこで道経連では、食料関連産業委員会の中に「農業クラスター研究会」を設け、具体的な検討を行う一方、農業以外の「産業クラスター」の可能性についても検討を深め、わが国の産業政策の牽引役となるべく努力することにしている。


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