日本メキシコ経済委員会総会(委員長 久米 豊氏)/7月31日

ブランコ商工大臣、回復へ向かうメキシコへの投資を期待


日本メキシコ経済委員会では、1995年度定時総会を開催し、1994年度事業報告・収支決算ならびに1995年度事業計画・収支予算を承認した。
当日は総会に先立ち、来日中のブランコ・メキシコ商工大臣を招いて昼食懇談会を開催し、メキシコ経済の現状と展望につき説明を聞いた。会合には、エレックCEMAI(メキシコ対外問題経営者協議会)会長、ガルサ アルファ・グループ社長、ゴンザレス・メキシコ・キンバリー・クラーク製紙会長兼社長をはじめとするメキシコの有力財界人も出席した。また、懇談会終了後、ブランコ大臣一行は豊田会長へ表敬を行なった。
以下はブランコ商工大臣の説明概要である。

 ブランコ商工大臣

  1. 金融危機以降の経済状況
  2. メキシコ政府は、昨年12月のペソ相場の暴落に端を発する金融危機に対し、国際的な金融支援を受けつつ、緊急経済対策等を通じて事態の改善に努めてきた。
    その結果、メキシコ経済はこの2カ月で、回復の兆しを示している。特に貿易収支については、昨年12月から本年6月までに、赤字から黒字へ転じ、 120億ドルの著しい改善が見られた。輸出は全体で30%伸び、マキラドーラを含まない製造業部門の輸出は前年同期比で45%の伸びを示した。金利も低下傾向にある。為替市場ならびに証券市場は、著しい回復を見せている。国際資本市場への復帰は、82年の危機では7年かかったが、今回は7カ月で達成された。安定化を目指す新しい経済プログラムは、金融・貿易面で特に良好に機能していると考える。
    政府の一連の政策は、厳しい内容を含んだものであり、増税ならびにマネー・サプライ抑制等により経済の停滞・不況を招いた。しかし、今年上半期の経済諸指標を見ると、来年には経済の回復も期待できるものと考える。

  3. メキシコへの投資の必要性
  4. これまでの日本からの対墨投資総額は累積で25億ドルに上るが、まだ投資の余地は残されている。メキシコに今、投資をする利点は、次の4点である。
    1. 市場へのアクセス
      国家開発計画においてメキシコ政府は、今世紀末には1億人に達する人口の増加を踏まえ、年率5%の経済成長を目標として掲げている。この達成のため、国内貯蓄と投資の促進に係る税制改革、域内自由貿易の推進(NAFTA、コスタリカ、コロンビア、ベネズエラ、ボリビア、チリ)等に取り組んでいる。日本が対墨投資により獲得できる市場は大きい。
    2. 生産コストの低下
      メキシコ政府は、民営化、規制緩和の推進ならびにインフラ部門・教育分野への公共投資を行うことにより、生産コストの削減ならびに競争力の向上に努めている。民営化は、鉄道、ガスの貯蔵・販売、港湾(ベラクルス、アルタミラ、マンサニーロの3港)、空港、石油化学、ならびに電力部門で予定されている。また、電気通信分野については、97年から長距離通信分野における規制緩和を進める法案が議会を通過した。
    3. 労働力の高い生産性
    4. 政府と民間との協力体制の確立

  5. 日本からの投資が有望視される分野
  6. 今後、日本からの投資が有望とされる分野は、
    1. 民営化・規制緩和の実施された、もしくは予定されている各分野、
    2. 輸出産業、
    3. 資材生産に関する産業部門、
    4. 流通業、
    5. 高い労働力・技術力を活用する業種、
    の5分野である。


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