なびげーたー

デフレ懸念解消の新経済政策を

理財部長 遠藤 博志


経済界にはデフレ懸念が強まっており、早急な景気対策が求められる。構造改革も併せて進め、3%成長への早期復帰を目指すべきである。
景気の停滞が続き、先行きはなお不透明である。内外の環境の変化に対応した経済の構造改革も遅々として進んでない。経団連会員会社のトップの間には日本経済の先行きに対する危機感が高まっている。

8月上〜中旬に実施した経団連の緊急アンケートによれば、景気の先行きについて「既に腰が折れており、下降が続く」とする回答が13.8%、「腰折れが予想される」が23.1%、「足踏み状態が続く」が55.0%であった。
また、「既にデフレ・スパイラルに陥っている」との回答が 9.3%あり、これに「デフレ・スパイラルに陥る恐れがある」の79.0%を加えると88.3%にものぼる。
雇用問題も深刻度を増している。先のアンケートでも、人員削減に向けた雇用調整を実施中ないし近く実施する可能性があるとの企業は52.8%と半数を超えている。

こうした事態を打開するためには、早急に内需振興策をうつとともに、税制の抜本改革や規制緩和等の経済構造の改革に果敢に取り組む必要がある。
9月20日に発表される予定の政府の経済対策には是非とも以下の施策が盛りこまれるよう望みたい。

(1)10兆円規模の経済対策
真水を5兆円以上とすること

(2)大規模な第2次補正予算の編成
公共投資はその重点化を図ること

(3)税制改革の断行

  1. 法人税・法人事業税の大幅軽減、地価税の廃止、固定資産税の軽減等による法人の税負担の軽減を来年度税制改正において実施すること
  2. 長期保有土地の譲渡益重課制度の廃止(バブル前への引戻し)、有価証券取引税の廃止を早急に実施すること

(4)規制撤廃・緩和の一層の推進
行政改革推進委員会が7月に論点を公開した農業、金融、物流等の40分野の規制緩和を推進すること

(5)不良債権問題の早期解決
経団連が7月に提言したように公的資金の導入を含めた抜本策を打ち出し、内外からの金融不安を早急に一掃すること

(6)金融の一層の緩和
実質金利負担を軽減するとともに、不良債権問題の解決にも資するよう、公定歩合の再引下げ、短期金利の一層の低目誘導を図ること

8月に入り、為替レートが90円台後半に戻り、株価も1万7000〜8000円台に回復し、目下のところ、やや小康を保っているが、以上の対策により、これを確実なものとし、さらには、為替レートを100〜110円、株価は2万円台にもっていければと期待される。


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