流通委員会企画部会(部会長 青木辰男氏)/8月30日

流通構造の変化における競争政策


流通委員会企画部会では、流通分野の構造変化の実態を把握するため、ヒアリングを行ってきたところであるが、その取りまとめにあたって、公正取引委員会の大熊まさよ取引部長を招き、流通構造の変化に伴う競争政策上の課題について説明を聞くとともに、意見交換を行った。

  1. 大熊部長説明要旨
  2. 流通構造の変化に伴い、競争政策上の新たな課題が生じている。
    第1は、著作物の再販等の独禁法の適用除外制度の見直しである。独禁法上、再販行為は原則として違法であり、適用除外とするには国民の理解を得られる理由が必要である。
    第2は、メーカーや卸業者、事業者団体等による販売価格への関与である。以前より減少したとは聞くが、依然低価格販売の阻害要因となっている。
    第3は、メーカーのマーケティング方法である。メーカーによる販売方法や取引先、販売地域等の非価格制限が独禁法上問題となることがある。特に、メーカーの取引先選別については、ガイドラインを明確にして欲しいとの声もあり、今後検討を要する。
    第4は納入業者に対する小売業者の優越的地位の濫用行為である。具体的には、押しつけ販売、協賛金や従業員の派遣要請、不当な返品等に関し、独禁法違反の行為が目立つ。また、最近ではPL法に関連して、納入業者への保険加入要求等が指摘されており、公取委としても関心を持って監視しているところである。この問題は、下請法の分野でも同様である。

  3. 意見交換
  4. 経団連側:
    再販制度は廃止すべきである。新聞の再販等について、関連業界の宣伝攻勢が著しいが、公取委も反論すべきである。

    大熊部長:
    いろいろな方法で議論を深めるようにしていきたい。例えば、文化の振興、新聞の戸別配達、本屋の品揃え等が再販の維持理由となり得るかについて、関係業界に限らず広く議論してほしい。

    経団連側:
    中小企業政策としては、全ての中小事業者を保護するのではなく、意欲ある事業者の支援がポイントである。

    大熊部長:
    同感である。

    経団連側:
    小売業の優越的地位の濫用として最も多い行為は何か。

    大熊部長:
    流通・取引慣行ガイドライン(91年7月)発表以降減ってきているが、押しつけ販売が最も多い。


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