なびげーたー

顔の見える双方向の交流をめざして

社会貢献部長 安斎洋一


文化交流が経済交流の基盤にないと、円滑な国際関係を築いていくことは難しい。文化や価値観の違いを認め合った上での交流が求められている。
経団連は、「経済と文化は国際交流における車の両輪である」という考え方に基づいて、1988年6月に国際文化交流委員会を設立して活動を続けている。(初代委員長は西尾第一生命保険会長、1995年5月に高丘西友会長が委員長に、7月に日枝フジテレビジョン社長が委員長代行に就任)

わが国と東南アジア諸国との経済関係が年々深まっているにもかかわらず、文化面での相互理解が遅れている。このため、摩擦の生じがちなASEAN諸国との文化交流亊業を優先させるべきであるとの会員の声を踏まえ、現地の日本人商工会議所との連携のもと、国際文化交流委員会は1990年から交流事業をスタートさせた。

まず、同年5月からタイ東北部の中学生と高校生4,500名に奨学金の支給を開始し、国際文化交流委員会加盟企業30社の資金協力を得て、これを9年間継続することになった。支給対象者も5,100名に増え、今では経団連スカラシップとして定着し高く評価されている。

1990年9月からは、10年間の事業として、インドネシアの幼稚園から高校までの先生20名を日本に招聘している。今年は第6回目にあたり、先生方は9月25日から約2週間、日本に滞在して、学校や企業、観光地などを訪ね、日本を肌で感じてもらうことにしている。この事業は16社の協力を得て実施している。本年5月からは、15社の協力を得てフィリピンの高校教師10名を日本に招聘している。

マレイシアはかねてより対日理解の促進に熱心であったが、同国の戦略国際問題研究所の中に「日本研究センター」を設置したいという要請が経団連にあり、国際文化交流委員会加盟企業44社(当初14社)の資金協力により、1991年から98年までの8年間、同センターの研究活動を支援することになった。

他国の人たちに日本を知ってもらう上で、日本語を広めることは有効な方法の一つであるという観点から、日本語を第二語学として勉強中のシンガポールの高校生20名に92年から奨学金を支給し、生きた日本語に触れてもらうため、毎年10名を日本に招待している。この事業への参加企業は20社で10年間協力いただくことになっている。さらに、ASEANを含むアジア諸国やオーストラリア等で高まっている日本語学習熱に少しでも応じられるようにということで、8社の協力を得て11カ国の大学に日本語の定期刊行物を送っている。

以上国際文化交流委員会で取り組んでいる事業は、いずれも計画的、意識的に継続させるところに意義があり、引き続き会員各社の協力を賜りたいと考えている。


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