経済調査常任委員会(委員長 石川武氏)/9月13日

新経済対策をめぐり宮崎経済企画庁長官と懇談


経済調査委員会では宮崎経企庁長官ほか幹部を招き、常任委員会を開催した。宮崎長官からは、わが国経済は危機的な状況にあるが、現在策定中の経済対策を含め適切な経済運営を行えば、回復軌道に乗るとの見解が示された。経団連側からは、税制抜本改正の早期実施、大規模な補正予算の編成、規制撤廃・緩和の一層の推進、新首都建設等を経済対策に盛り込む必要があると強く要望した。

  1. 宮崎経済企画庁長官挨拶要旨

    1. 日本経済が危機的な状況にある中、消費者、企業経営者も先行きに不安を感じるなど、閉塞状況が広がっている。政府は景気を着実に回復軌道に乗せるべく、4月の緊急円高・経済対策をはじめこれまで機動的に対策を講じた。この結果、為替や株式市場、さらには企業収益に好ましい影響が現れてきたが、この機を捉え、引き続き切れ目ない対策を機動的に講じていく必要がある。そこで政府は、9月20日を目処に、思い切った経済対策を発表する予定である。

    2. こうした対策を打っても景気が年内に明確に回復することは期待できないが、適切な経済運営を行い、政策の効果を積み重ねていけば、景気は回復軌道に乗り、来年後半には、他の先進国並みの成長率に回復すると見ている。また、景気回復後には構造改革に取り組む必要があろう。

  2. 意見交換

    経団連側:
    経済界の間には先行きに対する危機感が高まっており、閉塞感を打破していくためには、新経済対策には、
    1. 税制の抜本改革の早期実施((1)法人税・法人事業税の大幅軽減、地価税の廃止、固定資産税の軽減による法人の税負担の軽減、(2)所得税の特別減税の継続等)、
    2. 真水5兆円以上の大規模な第2次補正予算の編成、
    3. 規制撤廃・緩和の一層の推進
    等を盛り込むべきである。

    宮崎長官:
    経団連の要望を新経済対策に盛り込む方向で検討している。ただし、税制改正については政府税制調査会の審議もあり、対策で詳細に触れることはできず、趣旨を若干触れる程度となろう。補正予算についても大規模なものとするとともに、公共投資は震災関連以外では未来指向型の分野(研究開発、医療、情報通信等)に振り向ける必要がある。同時に規制緩和を進め、競争促進や新しいビジネスチャンスの拡大を図る必要がある。

    糠谷調整局長:
    新経済対策の柱は、
    1. 内需拡大を図るため、公共投資の積み増しと直接需要誘発効果の高い分野への重点化、
    2. 公共用地の先行取得など土地の流動化策の実行、
    3. 経済構造改革の推進を図るための情報通信、研究開発等の基盤整備
    の3点となろう。規制緩和については、経済効果の大きいものを対策に盛り込むことは難しい。

    経団連側:
    首都移転、大規模空港建設など大規模プロジェクトは経済への波及効果効果が大きく、早急に実現する必要がある。

    村田政務次官:
    首都移転については自民党内でも熱心な議論がなされている。この方針が定まらないと大規模空港建設等多くの問題が滞る。

    経団連側:
    年末の最終答申が予定される経済審議会の新経済計画には、社会資本についてグランドデザインを描くとともに、成長率等数字を明示すべきである。

    土志田総合政策局長:
    新経済計画には首都移転、産業構造の姿を含め日本経済の将来の姿を具体的に描くとともに、足元の経済情勢と中期的計画とのギャップを上手くつないでいく必要があろう。


日本語のホームページへ