第109回景気動向専門部会(司会 遠藤理財部長)/9月8日

景気の先行きは財政が鍵を握る


景気動向専門部会では、最近の経済動向について、関係省庁および日本銀行より説明を聴取するとともに、年度下期までの景気動向および望まれる経済対策について、意見交換を行なった。生産、雇用等を中心に景気は依然厳しい状況にあるが、実効ある経済対策の発動により、円安を定着させることができれば、景気の底割れを回避できる公算が高いとの見方が多く出された。以下は、懇談の概要である。

  1. 厳しい景気の現状

    7月の生産は前月比2.4%減と4カ月連続で減少するなど弱含みで推移し、出荷は前年比0.2%減と14カ月ぶりに前年割れとなるなど、在庫循環は意図せざる積み上がり局面に入った。8月は反動から一時的に生産は上向くが、9月には大幅な下落が見込まれている。
    雇用面では、6,7月の失業率は統計開始以来最悪の3.2%で横這いの状態であるなか、常用雇用者数は減少傾向、有効求人倍率も低下基調にあるなど、雇用情勢は引き続き厳しい。
    日本銀行の短期経済観測によると、95年度の全産業ベースの設備投資計画は主要企業では前年比3.0%増と比較的堅調であるが、中小企業では13.4%減と依然厳しい。
    こうしたことから、8月の主要企業の業況判断DIは5月調査から2%マイナスの18%、中小企業では更に大幅に下落するなど、経営者のマインドは一層冷え込んでいる。

  2. 景気の先行きは財政が鍵を握る

    今後、円高是正による景気浮揚効果が期待されるが、当面はアジア市場における競争激化による素材関連を中心とする市況の軟化、海外の経済情勢の悪化等により、外需依存型の景気回復は望みにくい。国内については生産の弱含み、住宅建設の頭打ちなど懸念材料が目立つ。
    ただし、政府が思い切った財政政策を実施していけば、為替相場も1ドル=100円以下の円安水準で定着し、企業業績および設備投資の拡大をもたらし、消費にも好影響を与え、景気は底割れを回避し、徐々に回復軌道に向かう公算が高いとの意見が多い。


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