第28回東北地方経済懇談会/9月26日

活力ある地域経済づくりについて懇談


東北経済連合会と共催により、標記経済懇談会を仙台市において開催した。「活力と創造性あふれる経済社会をつくる」を基本テーマに、これからの経済社会づくりへの重要課題、21世紀に向けた国土づくり、社会資本整備と地域の連携、新産業の育成と地域経済社会の自立化等をめぐって意見交換した。
当日は、東北側から明間東北経済連合会会長ら地元経済人約250名が、経団連からは豊田会長、鈴木・那須・青井・高丘の各副会長が出席した。

  1. 明間東北経済連合会会長開会挨拶
    (東北電力会長)
  2. 明間東北経済連合会会長

    1. 現在わが国は変革期にあるが、将来に向けた持続的安定成長と国民生活の質的向上のために、適切な経済運営に加えて、規制緩和、内外価格差是正、行財政改革、地方分権等の抜本的な構造改革が必要である。

    2. 昨年北海道・東北の官民が一体となってとりまとめた「ほくとう銀河プラン」を受け、東北経連では、新しい国土の軸「ほくとう新国土軸」形成の推進と首都機能の移転に取り組んでいる。

    3. 国内産業の空洞化に対しては、「東北地域創造的企業活動推進協議会(東北ベンチャーランド協議会)」を組織し、活動を開始した。

  3. 懇 談
    1. 当面する地域の経済状況と課題
    2. 中村 正秀氏(東北経済連合会副会長/新潟県経営者協会会長)

      1. 東北地方の景気も全国同様、先行きに不透明感が広がっている。政府の経済対策の着実な実施と同時に、法人税負担の軽減、各種規制の撤廃・緩和等の構造改革の推進、円高是正と為替安定を図る必要がある。会員企業アンケートによると規制緩和に期待する声が非常に強い。
      2. 東北地方の工業従業者数は、92〜93年の2年間で5万5,700人減少し、円高が多少是正されても元に回復することは殆ど期待できない。そこで、地域の活性化に向けた「企業の創出」に取り組んでいる。
      3. 地方分権の推進のためには国と地方の役割分担を見直し、スリムな中央政府にする必要がある。また、地方の財政基盤の整備が不可欠である。

    3. 首都機能移転問題
    4. 友田 昇氏(東北経済連合会理事/福島テレビ社長)

      東北経連は、首都機能移転の候補地に関する適地調査を進め、本年5月にポスト四全総に対する緊急提言において宮城県中南部地域と福島県阿武隈地域が相応しいと結論付けた。
      選定に当たっては、

      1. 政治行政システムの転換や国土構造の改編に資するフロンティア地域であること、
      2. 自然環境と共生が可能なこと、
      3. 自然災害に強いこと、
      4. 東京との連携が可能であること、
      といった基本的条件に加え、土地の利用・取得の容易性などについても客観的に評価・分析した。
      今後は、各地域の思惑や利害を超えて、国民全体の問題として公正・公平な議論が展開されることを期待している。

    5. 複線型国土と交通基盤の整備
    6. 手島 典男氏(東北経済連合会常任理事/仙台ターミナルビル社長)

      昨年末に東北新幹線の盛岡〜八戸間のフル規格整備が決定するなど東北地域における交通基盤整備は一定の進捗を見せているが、地域格差を是正し、国土の均衡ある発展を実現するには、まだ多くの課題が残されている。
      東北経連は、ポスト四全総に対する緊急提言において複線型国土の形成に資する交通基盤整備の重要性を訴え、常磐自動車道や日本海沿岸自動車道、仙台港の特定重要港湾への格上げ、東北地域における国際拠点空港の建設を求めている。
      これらの実現のため、基盤整備の重点化、公共事業のシェア見直しなどにつき経団連が積極的な役割を果たすことを期待する。

    7. 東北ベンチャーランド運動推進への取組
    8. 大山健太郎氏(東北経済連合会理事/アイリスオーヤマ社長)

      東北地方では、地域の経済活力を維持していくために、各県商工会議所連合会や当会等が中心となり、各県や関連団体の賛同を得て、本年4月に東北ベンチャーランド協議会を発足させた。協議会の本格的な活動は10月からであり、

      1. 新規事業の起ち上げに係わる資金や技術、経営管理、販路などに関する相談窓口の開設、
      2. TREEネットと称する情報通信網の整備、
      3. 各種セミナーや講演会、ベンチャー企業同士の交流会の開催などの普及啓蒙活動、
      等を中心に新規事業育成の環境整備を図る。

    9. 環十和田圏における広域交流圏形成
    10. 八重樫昌宏氏(東北経済連合会理事/岩手県北自動車社長)

      十和田湖を中心とする環状の地域連携軸が形成されると、青森、秋田、岩手の北東北地域が広域交流圏となる。この地域は、世界遺産地域に指定されている白神山地のほか、三内丸山遺跡、十和田湖・奥入瀬などを有し、自然環境、歴史、文化の情報発信地として、新しい地域連携が期待できるので、今後、ポスト四全総のプロジェクトのひとつとして国に提言していく。


日本語のホームページへ