日本ベトナム経済委員会(委員長:西尾哲氏)/9月25日

ASEAN加盟後のベトナムの行方


ベトナムは今年7月28日、ASEANに加盟し、96年1月以降のAFTA(ASEAN自由貿易地域)への参加に向けて準備作業を進めている。また、ASEAN加盟に先立ち、7月11日には米国との国交正常化も実現した。そこで、日本ベトナム経済委員会では、ベトナムのグエン・スアン・クアン商業省次官を招き、これらの歴史的な出来事によって、今後ベトナムがどう変わるかについて説明を聞いた。


西尾委員長と握手するグエン・スアン・クアン商業省次官(左)

  1. AFTAへの取組み
  2. ベトナムのASEAN加盟によって、4億人の市場が誕生した。これによりASEAN域内の貿易、投資などの経済交流は一段と促進され、ベトナムも経済成長への基盤を持つことになる。
    ベトナムは96年1月からAFTAにも参加する。それに伴い、ASEANの構成員としてCEPT(共通効果特恵関税制度)にも加入する。既にCEPTは、2003年までにASEAN域内関税を5%以下に引き下げ、非関税障壁を撤廃することを目標に掲げている。ベトナムについては、2006年までに同じ目標を達成するよう求められている。ベトナムはこの目標達成のため、現在、法律、行政上の手続の改正作業に取り組んでいる。加工前の農産物についても、2000年〜2006年の間に関税率を引下げ、最終的には0%〜5%にする予定である。
    CEPTへの参加以外にも、工業、農業、交通、資源開発などの分野で域内協力の準備を進めている。豊富な熟練労働力にも恵まれたベトナムのASEAN加盟は、他の域内諸国の経済成長を促進し、地域全体の競争力向上に役立つとともに、外資の誘致にも繋がるだろう。ベトナムとしても、他国における経済発展の経験を学んでいきたいと考えている。

  3. 米国、日本との関係
  4. 米国との国交正常化によって、両国間の経済関係が一段と拡大する条件は整った。多くの米国企業がベトナムに事務所を開設し始めた。ベトナムとしては将来、米国との協力関係が促進されることを望んでいる。
    しかし、米国との間には課題も残されている。第1に、現在、米国はベトナムに対して最恵国待遇を供与しておらず、ベトナム製品は米国市場で不利な立場に置かれている。第2に、これまで米国との間には経済協力関係がなかったため、米越企業間の相互理解には時間がかかることである。これらの問題を早急に解決したい。
    日本との関係については、投資保護協定や租税条約などを締結することが重要だと思う。


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