なびげーたー

政府の「規制緩和推進計画」の改定に望む

産業基盤部長/行革推進室長 立花 宏


政府は3月末に策定した「規制緩和推進計画」を着実に実施している。しかし規制の出城・砦は大小いくつか攻め落としたが、本丸はこれからだ。

  1. 日本経済を覆っている閉塞感を払拭し、21世紀に向けて新しい展望を切り開いていくには、経済構造の改革が不可避となっており、規制の緩和・撤廃はその鍵となる。
    政府では、目下、本年3月末に策定した「規制緩和推進計画」に基づいて、逐次、個別措置(計1091項目)を実施している。経団連の調査では、9月までに計画全体のほぼ四分の一が予定通り実施されており、年度内には6割となる見込みだ。
    これまでの政府の取組みを見ると、金融、労働、農政(農産物価格支持制度)等の分野への切り込みが不十分であり、また需給調整の観点からの参入・設備・価格に係る規制の見直しが必ずしも徹底していないのが実態であろう。いうならば、規制の出城・砦は大小、いくつか攻め落としたが、経済的規制の本丸はこれからと言える。

  2. 政府の規制緩和推進計画は、規制緩和に関するわが国初の本格的なアクション・プランであり、行政改革委員会の監視結果や内閣の行政改革推進本部での内外からの意見・要望聴取を踏まえ、毎年度改定することが計画の中に盛り込まれている。それだけに、今後はこの仕組みを最大限活用して計画内容の拡充を図っていくことが、経済界としての課題である。
    そこで、経団連では、計画の見直しに当たり、経済界の意見の反映を図っていく観点から、関係の政策委員会での検討結果を踏まえ、今般、17分野、合計588項目にわたる規制緩和要望を取りまとめ、政府へ提出した。

  3. 問題は政府の今後の対応である。実は計画の改定に向けた具体的なスケジュールがなぜか未だに内外に明らかにされていないし、閣僚ベースによる行革本部での内外からの意見聴取の結果を計画の改定にどう反映させていくのか、明確でない。昨年は、行革本部の中に、民間人の参加した作業部会、或いは検討委員会を設置したが、今回はそうした検討体制を設けるのか否かも不明である。いうなれば、司令塔不在の状況にある。
    行革委員会が既にあるから、ということかもしれない。しかし、行革委員会が取り上げた項目は、時間の制約もあって46に絞られており、46から洩れた項目の扱いを従来のように役所間のキャッチボールに委ねたのでは、先が見えている。

  4. 要は、行革本部での民間からの要望聴取を、単なるヒアリング(言いっ放し、聞きっ放し)ではなく、政治のリーダーシップの下に、実効ある形でいかに実施し、計画の拡充を図っていくかである。
    村山改造内閣は、改革推進政権を標榜しているだけに、経済界として、政府の不退転の取組みを切望したい。


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