第110回景気動向専門部会(司会 遠藤理財部長)/10月4日

景気は足元で弱い動きが続いている


景気動向専門部会では、最近の経済動向について、関係省庁、日本銀行より説明を聴取するとともに、意見交換を行なった。生産、雇用等を中心に足元の景気情勢は依然厳しいものの、公共投資・住宅建設の持ち直し、円高是正や経済対策の効果により、先行き景気が底固めされていくことが期待されるとの意見が出された。以下は、懇談の概要である。

  1. 景気は弱い動き
    1. 生産は5月以降連続で前月比減少したが、8月は2.4%増となった。しかし、これは予測値を大幅に下回っており、また9月は再び前月比減少が予測される等、引き続き弱含みである。在庫も8月は前月比 5.0%増と積み上がり局面が続いている。
      雇用面でも、8月の完全失業率は3ヵ月連続して3.2%と高水準であり、完全失業者数は前年比16万人増であるが、このうち11万人を若年層が占めている。
      こうした中、7月の景気動向指数も一致指数が10%と3ヵ月連続して50%を割るなど、景気は弱い動きが続いている。

    2. 他方、これまでの景気停滞要因のいくつかが、今後、解消していくことが期待される。
      第1に息切れがみられていた公共工事については、予算の前倒し執行の効果等が出はじめている。
      第2に6月以降住宅着工戸数は年率130万戸台に落ちているが、今後は利下げ効果の浸透により住宅刺激効果が働くであろう。
      第3に7〜9月期の機械受注は大幅増をみせた前期の反動から減少の見通しとなったが、年度ベースでは設備投資の回復が見込まれている。
      第4に海外需要であるが、4〜6月期に減速した米国経済も年末にかけて回復していくものと期待できる。
      さらに、円高の是正、公定歩合の引下げ、経済対策の効果も現れるにつれ、景気が底固めされていくものと期待される。

  2. 為替相場の動向とそのポイント
  3. 今後の円相場をみる上で第1のポイントは今月のG7であり、ドル安是正の継続が合意されれば、円安を支える材料となろう。
    第2は日本の経常収支動向である。日本の経常黒字は、逆輸入の増加等、輸入増の流れが定着しつつあり、減少基調にある。ただし、輸入増の頭打ち、海外経済の好転による輸出増により、来年後半は黒字が拡大するとの見方もある。
    第3は海外要因であり、米国の双子の赤字問題が再燃すればドル安が進行し、欧州の通貨情勢で波瀾が起これば円はマルクの連れ高になる惧れがある。
    現在の為替相場は日本経済の基礎的条件等からみてほぼ妥当な水準であり、当面は1ドル=100円前後の水準を大きく外れることはないと思われる。日本は構造改革の手を緩めず経常収支黒字削減の努力を続ける必要がある。


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