第538回常任理事会(議長 豊田会長)/10月3日

経済活性化に向けた規制緩和の早急なる断行と一層の推進を求める


第538回常任理事会では、行政改革委員会規制緩和小委員会の椎名座長より、規制緩和の推進に向けた小委員会での取組み、企業や業界への期待について、話を聞くとともに、意見交換を行なった。椎名座長は、「今後、活力ある経済社会を構築し、真に豊かな日本を実現するためには、規制緩和は最重要課題である。業界自ら業法を返上するぐらいの意気込みが必要である」と強調した。また、豊田会長より日中経済協会訪中団の模様が報告された。

  1. 規制緩和の一層の推進に向けて
    1. 椎名座長説明要旨
      1. 規制緩和小委員会における取組み
        小委員会の役割
        小委員会は、規制緩和の実態を把握、評価、検討し、その結果を踏まえて、今後とるべき措置について、行政改革委員会に報告することを目的として、4月に発足した。その対象範囲は、規制緩和推進計画の1091項目のみでなく、計画に盛り込まれていない事項や、措置済みの事項の効果にも及んでいる。
        小委員会のメンバーは、経済人、学者など幅広い各界のメンバーから構成されており、いずれも規制緩和推進派である。事務局が審議の方向づけをすることもなく、各人が、自由に論議できる環境を整えている。

        活動内容と今後の予定
        小委員会では、分野ごとに主査、副主査を定め、精力的に検討を行い、7月27日には、40項目について論点を公開した。40項目では少ないのではないかとの批判もあるが、大項目として設定したテーマであり、1項目の中にいくつかの規制緩和項目が含まれている。数が少ないとは感じていない。
        9月からは、規制緩和の内容、進捗状態を、幅広く国民に理解してもらうとともに、各方面の意見を反映させるため、新しい取組みとして分野別公開ディスカッションを行なっている。既に消費者団体、労働分野、法務分野の関係者と意見交換を行なっており、今後も続ける予定である。これまでの意見を見る限り、単なる賛成、反対だけでなく、大変建設的な議論がなされている。
        今後は、10月初めに6項目の追加論点公開を行い、11月末か12月の始めに報告書を行革委員会に提出する。

      2. 規制緩和推進に向けての課題
        規制緩和は、ある意味で過去の否定であり、失業などの痛みを伴う。しかし、経済活性化、国際化への対応、豊かさの享受のためには、新しい取組みが必要であり、政府が産業界を保護、指導する手法は時代後れとなっている。こうした国の「リストラ」を進めるには、(1)政治のリーダーシップ、(2)行政と産業界の協力、(3)国民の理解が必要となる。村山内閣は、規制緩和を閣議決定しており、今後大事なことは、その推進に向けて行政と産業界が協力しながら国民のコンセンサスを得ていくことである。

      3. 経済界への期待
        規制緩和には、総論での賛成者は多いが、各論では、根強い抵抗がある。
        経済活性化のためには、経済界としても業法を自ら返上するくらいの意気込みで、規制緩和に取り組んでほしい。経団連としても、なお一層の推進に向けて、踏み込んで訴えかけてほしい。

    2. フロアからの発言
      1. 13省庁との議論を設けるなど、行革委員会において横断的な視点からの対応が行われていることは大変有効である。

      2. 輸入住宅について、例えば原材料は海外で検査済みにも係わらず、日本の検査方法を強いられるなど、規制が厳しい。また水道事業も地方自治体による参入規制が行われている。建築基準法や法律によらない行政指導がコストをひき上げる結果となっている。

  2. 「中国訪問の模様について」
    1. 豊田会長報告要旨
      1. 9月17日〜24日、日中経済協会訪中団の最高顧問として訪中し、李鵬首相や喬石全人代常務委員長等と懇談したほか、三峡ダムの建設現場を視察した。

      2. 訪中の印象は第1に、中国経済が活気に漲ぎっていることであった。中国経済は昨年までの「過熱」を抑えるため、金融引締等を行っているが、調整策は功を奏しつつある。中国は2000年までの計画では8〜9%成長を目標とし、2010年までの長期計画では質の充実を図りたいとしている。

      3. 第2に、中国が経済開発において、わが国の資金や技術に大きな期待を寄せている点である。三峡ダム建設は、必要資金の多くを中国国内で賄うが、発電設備等の入札に日本企業の積極的参加が望まれている。その他のプロジェクトでは、李鵬首相から「中央アジアから東方に建設する石油と天然ガスのパイプラインプロジェクトについては、中国としても協力を惜しまない」との発言があった。

      4. 核実験をめぐる問題では、李鵬首相より「無償援助削減という日本政府の反応は、経済手段による威嚇で、非友好的である」という発言があった。これに対して、当方からは「核廃絶に向けた日本国民の悲願を理解してほしい。日中友好関係の基本は維持したい」と述べた。この問題が、日中の友好関係に悪い影響を及ぼさないことを願っている。

    2. フロアからの発言
      1. 日中長期貿易取決めについて石炭とプラント(技術設備)は、拡大の方向で合意されたが、石油(大慶原油)の取引量が削減されたことは残念である。

      2. 中国の石油需要は今後急速な伸びが見込まれ、中東からの原油輸入も増大すると思われる。わが国の石油会社は、中国の製油所と技術交流を進めているが、資金援助など政府の支援をお願いしたい。

      3. 中国でビジネスを行う場合の懸念材料は、法制度やインフラ整備の遅れ、投資に対する収益の考え方の違いや市場参入への規制などが挙げられる。また、有望鉱区の開放により石油開発を促進させることが必要である。


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