第7回評議員懇談会(進行 斎藤裕評議員会議長)/10月11日
新産業の育成、税制改革、政治改革と政治資金のあり方について評議員と意見交換
経団連では、評議員の意見を事業活動に反映させるとの観点から、春と秋の年2回、評議員懇談会を開催し、分科会方式で、重要課題について意見交換を行っている。
10月11日の第7回評議員懇談会では、「新産業新事業の育成」「税制改革」「さらなる政治改革と政治資金のあり方」の3つの分科会を設け、意見交換を行った。以下は、各分科会の議事概要である。
- 「新産業・新事業の育成」
(第1分科会 司会:北岡副議長)
北岡副議長
- 新産業・新事業を生み出す土壌作り
- 日本でニュービジネスが続々と育つよようにするためには、国全体の保守的なメンタリティを変えていかねばならない。
- 産学官が協力して新しい技術を開発していくことが必要である。とくに、基礎研究において大学の役割が大きい。
- 新産業・新事業の条件
- 経済全体に活気がなければ新産業・新事業も育たない。早急な景気回復が必要である。
- 政府の役割は、規制を撤廃・緩和し、企業が自由に活動できる環境を整備することである。
- 個人の累進課税や配当の二重課税の見直し等の税制改革や、持株会社の解禁等が必要である。
- ベンチャー企業へのリスクマネー供給に関しては公的金融機関の役割が大きい。
- 新規分野への進出策
- 新規に進出する事業分野の選定はトップ自らが行うべきである。
- 新規事業の立ち上げには10年単位の時間がかかることを理解する必要がある。
- 経団連の役割
提言に加えて、継続的なフォローアップ活動が重要である。
- 「税制改正について」
(第2分科会 司会:片田副議長)
片田副議長
- 税制改正に対する視点
- 国際的整合性の観点から、それぞれの税制を考える必要がある。産業の国際競争力を維持していく上で、税制は重要である。
- 地方分権が議論されるなか、国税と地方税の関係についても、抜本的な見直しが必要ではないか。
- 今後の財政展望と財政運営のあり方
高齢者社会に対応しうる財政構造を確立するには、消費税の引き上げが避けられないのではないか。
- 法人課税
- 国際競争力の低下、産業の空洞化を防止する観点からも、法人課税の実質的な税負担を国際水準にまで引き下げる必要がある。また、景気回復を進める上からも、法人の税負担の軽減は早急の課題である。
- 民間で懸命なリストラが行われている時に、地方の自治体の財源の安定を理由として、事業税の外形標準化の議論が行われるのはおかしい。
- 所得税
中長期的観点から、所得税の累進課税体系の見直しを進めていくべきである。
- 土地税制
- 地価税は地価高騰を抑制するという役割を終えている。また、納税者が特定の業種、地域へ偏っている上に、固定資産税との二重課税であるため、廃止すべきである。
- 固定資産税は大きな負担である上に、景気や地価に関係なく年々上がり続ける。仕組み自体の抜本的な見直しが必要である。
- 証券税制
有価証券取引税を廃止し、配当の二重課税の問題を解決することで、証券市場の活性化を図るべきである。
- 「さらなる政治改革と政治資金のあり方」
(第3分科会 司会:川勝副議長)
川勝副議長
- 政治改革の現状とその評価
- 政治改革法案の成立は、政治改革の「入口」である。今後は政治家の政策立案能力を高めるような施策が求められる。
- 政治改革には、官僚主導の政治から、政党政治の回復という観点が必要である。
- 小選挙区制では、従来に比べるとスケールの小さい政治家がでる可能性がある。
- 新人が政界にでれば、政治も変化するのではないか。
- 政治資金のあり方
- 国民が政治資金の使途について関心を持つことが必要である。政治家も、使途を明確にすべきである。
- 政治は金がかかるという前提は問題である。金のかからない方策を国民全体で考えるべきである。
- 質の高い政治家を育成するには、コストがかかることを認識すべきである。
- 政治資金は、個人献金と公的助成の2本立てで賄うべきである。
- 公的助成は、既成政党偏重の制度である。新党などには、助成がない。弾力的な助成制度の導入が望まれる。
- 個人献金に関しても、税制の優遇措置などのインセンティブを与えることが必要である。
- 政策本位の政治の実現に向けて
- 松下政経塾のような、政治家養成機関の設置も考えるべきである。
- 経済団体が、政治家に提言を行い、その後の実行状況をフォローアップすることも一案である。
- 政策立案できないのは、議員が抱えるスタッフが少ないためである。政策立案を行う組織を整える必要がある。
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