資源・エネルギー対策委員会(委員長 古川昌彦氏)/10月6日

電気・ガスは来年早々にも新料金体系へ移行


資源・エネルギー対策委員会では、通産省資源エネルギー庁より江崎格長官を招き、エネルギー需給の現状や規制緩和等、当面のエネルギー情勢と今後の課題について説明を聞くとともに、懇談した。席上、江崎長官は電気事業法の改正に関連して「卸発電事業への新規参入による発電の割合は、新規の発電設備のうち5〜10%程度になると思われる」と発言した。以下は江崎長官の説明の概要である。

  1. 国際的なエネルギー情勢の展望
  2. IEAのエネルギー見通しによれば、世界のエネルギー需要は1971年から92年にかけて約1.63倍(年率2.4%)、1992年から2010年では約1.45倍(年率2.1%)になる見込みである。今後、OECDの需要の伸びが鈍化する中で、アジア地域は2.24倍(1992年→2010年)と大幅な伸びを示し、OECDの石油需要のシェアは50%を切ると思われる。一方、石油供給については、2010年におけるOECDのシェアは22%(94年は30%)まで落ち込み、結果的に石油の中東依存度は大きくなると見られている。

  3. 日本・アジア地域のエネルギー需給
  4. わが国のエネルギー需要は、現状では産業部門が約50%、民生、運輸のそれぞれの部門が約25%ずつという形になっているが、今後、民生部門の割合が高まると予想される。供給面については、石油が一次エネルギー・ベースで1994年に57.4%までシェアを落とし(73年は77.4%)、その分を天然ガス、原子力が補う形になっている。
    長期エネルギー需給見通し(1994年策定)によると、エネルギー消費量を1992年度から2000年度までで1.0%、2010年までで0.9%の平均伸び率に抑えることとしているが、民生、運輸部門での伸びを抑えなくては達成が難しくなると思われる。供給面では、1992年度から2010年度までのエネルギー源別のシェアの推移を見ると、石油は58.2%から47.7%、原子力は10.0%から16.8%に、天然ガス、石炭等、その他についてはほぼ横ばいとなっている。
    アジア地域におけるエネルギー需要の増大も見逃せない状況にある。2010年には、日本のエネルギー消費と比較して、中国はやや多いくらい、ASEANはほぼ同程度、NIESが3/4程度になると予想され、その結果、日本周辺に日本規模の消費地域が3つ出現することになる。アジア地域において石油、石炭は生産されるものの、この地域の需要を賄うには量が不足すると考えられ、その結果、中東依存度は7割程度に高まると考えられる。

  5. 地球環境問題
  6. 1992年6月の地球環境サミットにおいて気候変動枠組条約が署名され、先進各国は温室効果ガスを今世紀中に1990年以前の水準に戻すために排出抑制措置を取ることが義務づけられた。日本は、2000年度時点で一人当たりのCO2排出量を1990年度レベルに抑えることとしているが、これまでのエネルギー消費量の増加傾向を見ると難しさを伴う目標だということがわかる。

  7. 規制緩和
  8. 石油と電力及びガスについて、それぞれ規制緩和が進められている。石油については、「特定石油製品輸入暫定措置法」が今年度末に廃止され、備蓄・品質をクリアした上で、石油製品(ガソリン、灯油、軽油)の輸入が自由化される。こうした措置により、ガソリンの独歩高というわが国特有の価格体系が是正され、国際価格に収斂されることを期待する。同時に流通の効率化も求められており、ガソリンスタンドの新増設を抑制する「指定地区制度(揮発油販売業法)」を廃止し、スタンド建設を自由化する。
    電力についても、先の通常国会において改正電気事業法が成立し、まもなく施行の予定である。その概要は、卸電気事業の許可制の廃止及び入札制度、卸託送の導入を通じた「発電部門への新規参入の拡大」と「特定電気事業にかかる制度の創設」である。卸発電事業への新規参入による発電の割合を予測することは難しいが、新規の発電設備の5〜10%になると見ている。
    ガスについては、昨年の通常国会において改正ガス事業法が成立し、本年3月に施行されたところである。これにより、年間契約数量200万k以上の大口需要家に対する供給エリア及び料金設定が自由化された。
    さらに、現在、電力、ガスの料金制度の見直しについても検討が進められており、事業者の効率化度合いの差に応じて査定に格差を設けるヤードスティック方式が導入されることになる。日本のエネルギー価格は国際的に高いと言われており、業界内の横の競争を通じ、一層の合理化が進むことを期待する。また、電力、ガスとも11〜12月頃には料金の認可申請が行われると思われるが、来年早々には新しい料金体系に移れると思う。


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