土地・住宅政策委員会(委員長:田中 順一郎氏)/10月6日

土地流動化の促進と不動産市場の活性化について懇談


土地・住宅政策委員会では、建設省の小野総務審議官をはじめとする関係幹部を招き、景気の先行きに不透明感を与えている資産デフレをいかに克服するかとの観点から、土地流動化の促進と不動産市場の活性化について説明を聴くとともに懇談した。

  1. 小鷲建設経済局長
    1. 現下の景気後退の本質は資産デフレであると認識しており、デフレ克服には土地流動化が不可欠と考える。土地流動化には、公的セクターによる土地取得のほかに、金融、規制緩和などの政策手段があるが、税制の果たす役割も大きい。
    2. こうした認識から建設省では、まず地価税については、当面、96年度において現下の厳しい経済状況への対処及び土地流動化の促進等の総合的観点から、臨時的な特例措置を講じることを税務当局に要求している。また、長期保有に係わる土地譲渡所得に対する課税について、2年間に限り、臨時的な軽減措置を講じることを要望した。

  2. 近藤都市局長
    1. 建設省は、優良な都市再開発を促進する観点から大都市の土地の有効利用を進め、その結果として土地流動化が促進されるべきであると考えている。そのため、先行取得を含めた公共用地取得を推進するとともに、民間都市開発推進機構の活用を図るため、2次補正で3兆2300億円を計上した。一般公共事業に係わる用地費については、従来の公共事業費の内訳としてではなく、工事費と区分して別枠で計上したが、これにより大都市地域に重点を置いた公共用地取得の進展が期待される。
    2. 民間都市開発推進機構については、地域の活性化、防災性の向上等都市環境改善の観点から、土地取得要件の緩和、土地保有期間の延長、土地保有コストの軽減、買戻し特約の緩和等土地取得業務の拡充を図るとともに、同機構の助成等を通じて地域に密着した第3セクターを育成強化し、都市再開発の確実かつ早急な事業化を促進することにした。

  3. 内田住宅局民間住宅課長
    1. 住宅投資の拡大は、わが国経済の発展と国民生活の向上に寄与するものであるとの観点から、住宅金融公庫に関して基準金利の引下げ(7月17日より史上最低水準の3.25%)、融資枠の拡大(3万戸追加し、66万戸に拡大)等の措置を講じた。
    2. 96年度の税制改正に関しては、(1)居住用財産に係わる譲渡損失の繰越控除、(2)シニア住宅への住替えに係わる居住用財産の譲渡所得の特例措置の創設、(3)既存住宅の取得に関する不動産取得税の特例措置の拡充を要望している。住宅取得促進税制については、景気動向、消費税引上げへの対応等を勘案して、96年度も堅持し、97年度以降はその拡充を図っていく必要があると考える。


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