国際産業協力委員会多国間投資協定(MAI)ワーキング・グループ/10月5日

多国間投資協定(MAI)交渉とわが国の課題


本年5月の閣僚理事会での合意を受け、OECD加盟国はMAI交渉を開始した。MAIは経済界に多大な影響を与えるものと予想されることから、経団連では国際産業協力委員会(委員長 中村裕一氏)のもとにMAIワーキング・グループ(座長 山本幸助氏)を設置し、必要に応じて意見を提出することとした。第1回会合では、藤岡通産省国際企業課長よりMAI交渉に関する説明を聞くとともに、今後のワーキング・グループの運営について意見交換を行った。

  1. MAIの経緯と特徴
    1. 国際経済において投資の役割が高まる中で、投資に関するグローバルかつ包括的なルールの策定が必要となっている。
    2. OECDは、さる9月26,27日に第1回MAI交渉を行った。

  2. MAIの特徴
    1. MAIは、投資自由化、投資保護ならびに紛争処理等に関して高い水準の規律を設定するもので、拘束力を有する。また、すべての締約国のあらゆるレベルの政府(州政府等を含む)に適用し、経済的地域統合(EU)の例外措置の問題も取り扱う。
    2. OECD非加盟国(特に途上国)の参加が関心事項となっており、交渉の進展に応じて協議を行うこと、OECDとWTOとの協力を進めることで一致している。

  3. 主要課題
  4. 上述の州政府等の規制問題や参入規制が残るエネルギー、テレコミ、運輸、金融等の分野での自由化のほか、以下の事項が主要課題となろう。
    1. 内国民待遇;政府調達におけるバイ・アメリカン、安全保障例外等の問題。R&Dプロジェクトへの外資系企業の参加制限。
    2. 新たな自由化義務;キーパーソネル(ビザ問題)、義務的パフォーマンス要求(ローカルコンテンツ)、民間慣行(株式持合)、税制(移転価格税制)等が課題。

  5. わが国の認識
  6. 投資保護分野ならびに紛争処理メカニズムはわが国企業の海外資産保護・海外事業活動に寄与するものと認識している。
    わが国企業の関心は途上国(主にアジア)における事業活動の円滑化、透明性の確保、非製造業分野での投資自由化、パフォーマンス要求禁止、投資財産の保護(特に送金の自由)等にあると考えられる。

  7. 今後の予定
    1. 交渉は6週間に1回開催し、並行してドラフティング・グループが技術的な課題について作業を行う。
    2. 第2回交渉(10月24〜26日)では、投資・投資家の定義、内国民待遇、最恵国待遇、税等を扱う。第3回交渉(12月7,8日)では、キイパーソネル、投資の保護、紛争処理について交渉する。


日本語のホームページへ