2010年の産業構造の展望
- (1)企業努力と経済基盤の整備が順調に進み、構造改革が実現した場合(望ましいシナリオ)
- 2000年に向けて内需主導により3%成長の軌道を描き、2010年まで3%強の成長が続く。失業率も3%台半ばをピークに2%近くへ低下してくると予想される。その場合の産業構造は、製造業については加工業種が底固く推移する一方、素材型産業がゆるやかにウエートを低下させ、全体としてのシェアはわずかに低下する。その分、非製造業がシェアを高め、特に規制緩和の効果が最も大きいと思われる商業、通信、個人に対するサービス、などが大きく上昇する。
- (2)現状のまま推移した場合(空洞化シナリオ)
- 輸出ドライブが働く一方、輸入が増えず、円高が一時的に大幅に進行する。成長率は、そのデフレインパクトも加わって、1%台に低迷すると予想される。失業率も、労働人口の減少にも拘わらず、長期的にも3%台後半から4%程度の高水準に止まる。産業構造については、円高によって生産の海外移転が加速されることから、製造業は加工型、素材型ともにシェアをさげ、産業全体に縮小均衡の圧力が働く。
2010年の産業構造につき、マクロモデルと産業関連表を使い、2つのケースにつき予測した。
(1)構造改革が実現した場合(90年価格、兆円) (2)現状のまま推移した場合(90年価格、兆円)
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│ │1990年時点│2010年時点││ │1990年時点│2010年時点│
│ │総生産(シェア)│総生産(シェア)││ │総生産(シェア)│総生産(シェア)│
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│第1次産業│ 20.0 ( 2.3%)│ 16.3 ( 1.2%)││第1次産業│ 20.0 ( 2.3%)│ 14.4 ( 1.3%)│
│第2次産業│325.8 (37.4%)│443.0 (34.1%)││第2次産業│325.8 (37.4%)│333.4 (31.0%)│
│ 加工型 │132.6 (15.2%)│197.1 (15.2%)││ 加工型 │132.6 (15.2%)│152.3 (14.2%)│
│ 素材型 │160.8 (18.4%)│228.3 (17.5%)││ 素材型 │160.8 (18.4%)│166.3 (15.5%)│
│第3次産業│520.6 (59.7%)│839.8 (64.6%)││第3次産業│520.6 (59.7%)│725.2 (67.5%)│
│分類不明 │ 5.8 ( 0.7%)│ 1.7 ( 0.1%)││分類不明 │ 5.8 ( 0.7%)│ 1.7 ( 0.2%)│
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│合計 │872.2 (100.0%)│1300.7(100.0%)││合計 │872.2 (100.0%)│1074.7(100.0%)│
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