輸送委員会(委員長:濱中昭一郎氏)/10月13日

航空審議会中間とりまとめについて黒野運輸省航空局長に聞く


本年5月の経団連提言「今後の空港整備のあり方について」では、大規模拠点空港に重点を置いた空港整備計画の策定と所要財源の確保を訴えた。政府の航空審議会でも8月に「第7次空港整備五箇年計画(7次空整、1996〜2000年度)の基本的考え方(中間とりまとめ)」を発表したことから、輸送委員会ではその内容や今後の課題につき運輸省の黒野航空局長と懇談した。なお当日は、運輸分野の規制緩和に関する要望案につき審議を行い了承を得た。以下は黒野航空局長の説明の概要である。

  1. 今後の航空需要の見通し
  2. 運輸省の予測では、2000年度の航空旅客需要は、国際線で94年度の1.42倍、国内線で1.23倍、2005年度には国際線で1.66倍、国内線で1.40倍に増加する。

  3. 7次空整の課題
  4. 中間とりまとめでは、大都市圏において、航空輸送ネットワークの拠点となる国際ハブ空港と国内拠点空港を整備することを最優先とする方針を明らかにした。
    具体的には、新東京国際空港(成田)の平行滑走路、東京国際空港(羽田)の沖合展開事業の着実な整備に加え、いわゆる「新3大プロジェクト」として、首都圏における新たな拠点空港の建設、関西国際空港の2期事業(平行滑走路等の建設)、中部新国際空港の建設を掲げた。
    一方、地方空港はほぼ概成しており、新空港の建設や滑走路の延長については継続事業を中心に進め、既存空港の高質化のための施策を講じるべきとした。

  5. 所要財源の確保
  6. 7次空整期間中の事業費は約3兆6,490億円としている。その財源確保には困難が伴うことが予想される。またわが国の空港使用料は国際的に見て高水準で、増加する空港整備費を利用者負担の拡大で賄うことは困難になりつつある。加えて、羽田の沖合展開事業に投入されている財投からの借入額は今年度末には約1兆円にも達することから、安易にこれに頼ることも適切でない。
    したがって一般財源の投入拡大を図る必要がある。中間とりまとめでは「別紙」においてその点を強調したが、公共事業費全体のシェア見直し議論が高まることを期待している。

  7. 日米航空交渉について
  8. 現在、貨物分野の航空協定の枠組みにつき交渉中であり、両国の航空事業者間の競争条件の不均衡是正を訴えていく。

  9. 空港使用料の見直し問題について
  10. 今般、航空局長の私的懇談会として「空港使用料に関する有識者懇談会」を設置し、幅広く空港使用料の問題について検討を行うことにしている。


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