国際金融常任委員会(委員長 若井恒雄氏)/10月13日

G7の模様および為替相場の動向について榊原大蔵省国際金融局長と懇談


国際金融・資本交流委員会では、常任委員会を開催し、榊原大蔵省国際金融局長より、10月7日に開催されたG7(7か国蔵相・中央銀行総裁会議)の模様等について、説明を聞くとともに、意見交換を行なった。

  1. 榊原国際金融局長説明要旨
    1. G7は、通常共同声明を出さないが、現在の為替相場が依然として満足いくものではないとの強いメッセージが必要と考え、4月に続き今回も共同声明を出した。そのポイントは、現在の為替相場はファンダメンタルズに整合的でなく、今後もドル高が望ましいことをG7が確認したことである。

    2. G7では、各国とも日本経済の先行き及びこれまでの政策を評価していた。但し、不良債権問題が唯一の懸念材料と考えられており、武村蔵相より大蔵省の考えを説明したところ、各国の大臣からできるだけ迅速に処理をしてほしいとの意見が出された。

    3. 欧米の銀行関係者も不良債権問題へのわが国の取り組みを評価していた。このような時期に、日本の金融機関のディスクロージャー等に対する不信感を強めるような事件が生じたことは不幸であった。今後、迅速な処理を図るとともに、欧米の通貨当局と密接に連絡をとっていくつもりである。

    4. 為替相場については、現在の市場の関心は、欧州の通貨統合の動向に移っている。また、米国の財政収支赤字削減をめぐる動向も注視していく必要があるが、クリントン大統領と議会の間に妥協が成立するとの明るい見通しが出つつある。今後は、欧米のこうした状況をも踏まえながら、為替市場での協調を図ることとなろう。

  2. 質疑応答
  3. 経団連側:
    米国(特に財務省)に基軸通貨国としての確固たる自覚が感じられない。
    榊原局長:
    サマーズ米国財務次官は、強いドルが望ましい理由の一つとして基軸通貨としてのドルの維持を記者会見で挙げるなど、FRBと同様に、基軸通貨としてのドルの地位を確保することに強い決意をもっている。協調介入も、米国側が日本のために仕方なく行っているわけではない。

    経団連側:
    ファンダメンタルズとは何か。
    榊原局長:
    米国の財政赤字問題が重要であり、日本の経常収支黒字は全く問題となっていない。サマーズ米国財務次官は、日本の黒字問題は終わったと考えている。円安のJカーブ効果により、今後、日本の経常収支黒字が減少し、来年にも対GDP比2%を切る可能性がある。

  4. 報告
  5. 経団連から「経常収支黒字削減計画の設定に関する報告」及び「為替の適正化・安定化に関する報告書」の概要を報告した。


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