輸入拡大に関する懇談会(進行 北城恪太郎国際企業委員長代行)/10月25日

輸入拡大策の一環として今国会にてFAZ法を改正


わが国の莫大な貿易黒字削減のために、経団連では輸入拡大に資する規制緩和要望を政府に提出するとともに、外国企業を対象とした日本企業の調達セミナーを開催するなどして輸入拡大に取り組んでいる。その一環として、国際企業委員会・通商対策委員会では、鈴木善統通産省輸入課長を招き、政府の輸入拡大策について説明を受けた。
以下は鈴木課長の説明要旨である。

  1. 政府の輸入拡大策の体系は以下のとおり。
    1. 製品輸入促進税制や開銀・輸銀等の政策金融などの輸入業者への政策的支援。
    2. 輸入促進基盤整備(FAZの整備)。
    3. 産業界・学界の意見を反映させる輸入協議会や対日市場アクセス実態調査の実施。
    4. 輸入拡大月間(10月)、個人輸入促進・消費者支援などの消費者・国民一般に関する輸入拡大策。

  2. FAZ法の改正について
  3. 日米構造協議において日本の地方都市の輸入インフラの未整備が指摘された。政府では92年7月に「輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法(FAZ法)」を制定して、地方空港や港湾施設の整備、共同で使用できる倉庫、展示場、流通センターを集約させる輸入関連インフラ整備に国が助成する仕組として輸入促進地域(FAZ)を設置した。
    さらに、輸入関連事業者の集積を図るために、FAZ法の改正案を今国会に提出している。改正によりFAZの存続と輸入関連事業者への税制上の恩典・資金調達手段の拡充が実現する。また、海外との投資情報等の交換を行うJETROによるFAZ支援センターを設立する。
    FAZでは保税運送時の負担を低減できる総合保税地域制度を適用できるが、総合保税地域の認定要件が厳しく、大阪市のアジア太平洋トレード・センターしか認定されていない。今回の改訂により大蔵省も弾力的に運用する方針を示している。

  4. その他の措置について
  5. (1) 製品輸入促進税制
    一部の関税ゼロの製品を対象に、輸入増加額に応じて税制上の恩典が受けられる。今春、輸入増加額の上限を10%から30%に引き上げ、適用範囲を拡大した。

    (2) 輸入促進のための政策金融
    開銀の輸入促進基盤強化融資および輸銀の製品輸入金融がすでに導入されている。

    (3) 輸入協議会・対日市場アクセス実態調査
    内外の産業界・学界の意見を政府の輸入拡大策に反映させることを目的に設置されている。対日市場アクセス実態調査は本年度から開始された事業でJETROが日本の規制や商慣行の合理性を欧米と比較した上で調査するものである。今年度は「住宅」「医療機器」「化粧品」「加工食品」の調査を行なっており、来年2月に報告書をとりまとめる。


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