パッハー オーストリア企業局総裁との懇談会/10月30日

拡大する欧州の中心となるオーストリアへの投資促進を期待


本年1月にEUに加盟したオーストリアでは、外資系企業の投資誘致による経済の活性化を目指している。昨年11月のパッハー総裁の来日、本年6月の経団連ミッション(団長:伊藤国際産業協力委員長:当時)のオーストリア訪問に引き続き、オーストリア企業局(産業協力開発公社を改称)パッハー総裁の来日の機を捉えて、現在のオーストリアの投資環境について説明をうけた。(司会:中村裕一国際産業協力委員長)

  1. 日本とオーストリアとの関係
  2. 日本とオーストリアでは、長期にわたる緊密な関係を築いてきた。経済関係ではSONY、アマダ、堀場、マツダ、都筑紡績などがオーストリアに投資を行なっている。

  3. オーストリアのEU加盟の影響
  4. オーストリアの本年1月のEU加盟は、最近のオーストリアの投資環境の変化の中で最も魅力的なものである。これにより、オーストリア投資企業は、世界最大の「国内市場」に自由にアクセスできるようになった。また、オーストリアはEUの研究開発や共同出資プログラムに参加することが可能になるとともに、EUの開発補助金を利用することができるようになった。
    さらに、オーストリアは従来からの中東欧へのゲートウェイとして最適な拠点であることに変わりはない。すでに 1,000社を超える外資系企業が中東欧への進出拠点としてオーストリアを選択しており、中東欧でのジョイント・ベンチャーに参加しているオーストリア企業は12,000社にのぼる。
    また、EU加盟の影響として民営化の進展が挙げられる。特に、オーストリア最大の鉄鋼メーカーであるVAシュタールの株式上場は成功裏に行われた。また、情報通信事業の民営化も1998年までに実施する予定である。しかしさらなる経済の活性化を図るためには民間資本の導入が不可欠である。

  5. オーストリアの投資環境
  6. オーストリア投資において最大の利点はソーシャル・パートナーシップと呼ばれる労使協調体制により、ストライキが他の先進諸国と比較して最も低い水準にあることである。確かにオーストリアは低コスト国ではないが、質が高く、勤勉な労働力を提供することができる。さらに、一律34%の低い法人税率のほか、空港・運河などの輸送網の整備、網の目のように張りめぐらせたテクノロジー・パークなどの充実したインフラ、安定した政治、経済、社会、通貨体制などのメリットを持っている。
    オーストリアには日本企業の合弁パートナーに相応しい競争力のある中小企業も多く、将来の全欧州市場を見据えて生産性、競争力が高いオーストリアを製造拠点として考えて欲しい。


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