環境安全委員会地球環境部会(部会長 加納時男氏)/10月23日

わが国の環境政策の重点課題
地球温暖化対策の動向


1997年は、国連環境特別総会および2000年以降の温暖化対策を議論する気候変動枠組み条約第3回締約国会議などが開催され、国際的に環境の年となると予想される。特に同締約国会議は日本で開催される予定であり、わが国での地球環境問題への関心は急速に高まると予想される。既に環境庁は地球温暖化対策を検討するための特別委員会を設置し、具体策の検討を進めている。以下は環境庁の浜中地球環境部長の説明である。

  1. 地球環境問題の現状と課題
  2. 地球環境問題の中でも、オゾンホールの拡大、世界的な気温の上昇、熱帯林の激減、途上国の環境汚染の深刻化などが特に問題となっている。その背景には、人口の急増、先進国での持続可能でない生産・消費パターンの継続、また環境政策を後退させかねない規制緩和の動きなどがあり、今後、地球環境問題はますます深刻化してくる。
    97年には、国連環境特別総会と気候変動枠組み条約第3回締約国会議が開催され、国際的な関心の高まりが予想される。特に第3回締約国会議は日本で開催される予定であり、わが国も、環境への負荷の少ない経済に移行すること、アジアでの環境問題への取組みを強化すること等が必要である。

  3. 地球温暖化対策
  4. 地球温暖化対策については、2000年以降の中長期的な取組みのあり方についての結論を97年までに出すことが国際的に合意されている。2000年以降の目標として、気候変動によって最も影響を受ける島嶼諸国より、国際的に1990年レベルより20%を削減するとの提案が出されている。ドイツからも種々の政策措置をとるべきとの提案が出ている。わが国としても国際的な取組み作りに貢献していく必要がある。
    また、2000年までの取組みとしては、「地球温暖化防止行動計画」に沿って努力中であるが、目標のひとつである2000年における二酸化炭素の排出総量は1990年レベルより3%ほど増加する見込みである。環境庁長官の私的懇談会である「地球的規模の環境問題に関する懇談会」の下に「地球温暖化問題に関する特別委員会」を設けて検討を進めているが、民生部門における二酸化炭素排出量が伸びている現状を見ると、今後の取組みにおいては、市民の理解が不可欠である。環境税などの経済システムや途上国との共同実施のあり方についても検討を行なっている。2000年以降の取組みの合意に向けて全力をつくしたい。

  5. 途上国への環境協力
  6. わが国は地球サミットで、92年から5年間で環境ODAを9000億円から1兆円を目途に大幅拡充することを約束し、着実に実施している。このほか、アジア太平洋地域の持続可能な開発を進めるため、「アジア太平洋環境会議」を開催している。


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