ジョンストン次期OECD事務総長との懇談会(座長 行天豊雄氏)/11月10日

OECDと日本産業界との関係強化を


96年6月に、OECD事務総長に就任予定のジョンストン氏を迎え、今後のOECDの運営や、わが国産業界に対する期待などにつき意見交換を行なった。経団連側から競争政策や環境問題などへの取り組みを説明するとともに、専門化しすぎたOECD活動を、産業界にとって分かりやすいものにしてほしいとの期待を表明した。これに対しジョンストン氏は、産業界の役割の重要性を認識しており、日本産業界との直接の意見交換の機会を設けたいと提案した。

  1. BIACへの期待と要望
  2. ジョンストン氏:
    産業界に比べて、グローバル化の進展に伴う政府の改革の遅れが目立っている。そこでBIACのような諮問メカニズムを通じ、OECDが産業界の最新の状況を理解し、加盟国政府に改革を勧告することが、従来にまして重要になってくる。

    経団連側:
    BIACを重要視しているとの話をうかがい、感銘を受けた。新事務総長がこの姿勢を貫かれ、それがOECDやBIACの運営にも反映されれば嬉しい。

  3. 競争政策
  4. 経団連側:
    世界市場の統合が進む中で、50あまりの国々が、それぞれの歴史的背景を反映した異なる競争法を執行するとなると、さまざまな問題が生じてくる。経団連競争政策委員会では、各国競争法間のハーモナイゼーションと、独占禁止法の域外適用の問題に、重点を置いて取り組んでいる。達成はきわめて困難だが、OECDで総合的なルール作りを進めていただきたい。経団連としても、できる限りの協力をする。

  5. 環境問題
  6. 経団連側:
    日本の産業界は、大気汚染、水質汚濁の改善に著しい成果を上げたことで評価されている。経団連は1991年に、環境問題に関する企業の理念と具体的行動指針を示す地球環境憲章を発表した。環境問題は、世界市民として企業が自主的に取り組むべき課題である。
    貿易と環境の問題は、途上国から環境規制は非関税障壁であるとの反発もあるが、途上国の自主的な環境改善努力を、何らかの形で先進国が支援していくべきである。

  7. より身近なOECD
  8. 経団連側:
    OECDの議論は専門用語が多く、高度に学術的で、産業界の議論への参加を遠ざけている。スペシャリストが平易な言葉で説明する努力を期待したい。日本からの職員採用についても、高学歴、高度な語学力というハードルを低めるなど戦略的に検討していただきたい。

    ジョンストン氏:
    OECDと日本の産業界が直接に意見を交換し、理解を深めていただくために、セミナーの開催などを考えたい。職員採用についても真剣に検討したい。


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