産業技術委員会(委員長 山口開生氏)

科学技術基本法が成立


11月8日、今国会において科学技術基本法が成立した。この法律は、与党3党と新進党の合意の下に、超党派の議員立法として提出されたものである。経団連では、産業技術委員会において、3月に提言「科学技術基本法の早期制定を要望する」をとりまとめてその実現を働きかけてきたところであり、早速、豊田会長の歓迎のコメントを発表した。科学技術基本法のポイントは以下の通りである。

  1. 科学技術基本法の目的
  2. わが国は、いま大きな変革期を迎えて、これまでのキャッチアップ型の研究開発体制から世界のフロントランナーの一員にふさわしい体制へ変えていくことが急務となっている。そうした状況のなかで科学技術の重要性を訴えその振興を立法化したものが科学技術基本法であり、第1条には、「我が国における科学技術の水準の向上を図り、我が国の経済社会の発展と国民の福祉の向上に寄与するとともに世界の科学技術の進歩と人類社会の持続的な発展に貢献することを目的とする」と定められている。従来は、わが国の科学技術の総合的基本方策を示すものとして科学技術政策大綱があったが、立法化されたことにより、科学技術振興策の大幅な強化が期待される。

  3. 科学技術基本計画の策定
  4. 産業界として最も注目されるのは、第9条において、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために科学技術基本計画を策定することが政府に義務づけられた点である。本法に関する衆参両院の附帯決議には、
    1. 科学技術基本計画は、10年程度を見通した5年間の計画とし、政府の研究開発投資額の抜本的拡充を図るべく、講ずべき施策、規模等を含めできるだけ具体的な記述を行うよう努めること、
    2. 科学技術基本計画の策定にあたる科学技術会議(内閣総理大臣の諮問機関。議長は内閣総理大臣)の抜本的な充実と活性化を図るよう努めること、
    などが盛られた。

    わが国が世界のフロントランナーの一員にふさわしい研究開発体制を確立できるかどうかは、ひとえにこの科学技術基本計画の内容をどこまで充実させられるかにかかっている。計画策定の具体的な手順は、まだ明らかになっていないが、産業技術委員会としても、科学技術基本計画がわが国の戦略的なシナリオになるよう活動していく予定である。


科学技術基本法の目次

第1章 総則(第1条〜第8条)
第2章 科学技術基本計画(第9条)
第3章 研究開発の推進等(第10条〜第17条)
第4章 国際的な交流等の推進(第18条)
第5章 科学技術に関する学習の振興等(第19条)
附 則


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