新産業・新事業委員会(委員長 大賀典雄氏)

北陸地方における新産業・新事業創出への取組み


新産業・新事業の育成は、地域振興の有力な方策のひとつでもある。既に各地の自治体では、中小・中堅企業支援政策にベンチャー企業育成の観点を加味した施策を打ち出しており、産・官・学がそれぞれの役割を踏まえた上で、新産業・新事業の創出を通じた地域の活性化のための協力を始めている。経団連では、そうした各地の取組みを、地域的・一時的な動きに止まらせることなく、全国的かつ長期的な動きにすべく、本誌にて広く紹介していく方針である。

これまで北陸地域の産業は、地道な技術革新・ハイテク化によって、また、さまざまな地域産業振興政策による先端技術型の工場立地等によって高付加価値化・高度化に努めてきた。
加えて、富山イノベーションパークや石川ソフトリサーチパーク、ソフトパーク福井など、革新的な産業技術・情報の中核機関の形成や、北陸先端科学技術大学院大学、富山、福井の両県立大学など新しい大学の相次ぐ設立により、これまでの技術革新の推進体制にさらに厚みを加え、産業の革新をさらに力強く進めるための環境整備に力を入れている。

石川県においては、今年、ベンチャー企業に対し金融面での支援を行なう「(財)石川県創造的企業支援財団」が設立され、富山市においては、特色ある企業の育成を目的として、市内外の中堅企業に働き、独立心と起業家精神の旺盛な技術者に対し、市が建設したミニ工場(富山市ハイテクミニ企業団地)を一定期間貸与し、県・市・関係団体が一体となって開業及び営業時の支援、指導、助言を行なってる。また、福井県では、(財)福井県産業振興財団を通じて、ベンチャー企業が発行する株式、転換社債等の引受けを行なう民間ベンチャーキャピタルに対する投資原資を一企業あたり5,000万円を上限として預託、あるいは社債元本の一部(70%以内)について債務保証を行なうという新しい試みを始めた。

今後の課題として、これまで自治体・産業界が整備してきた種々の政策の実効性を高めるためには、個別・分散的な事業展開ではなく一体的に事業展開を行なう態勢作りが必要との観点から、通産省が95年度から打ち出している創造的経済発展基盤地域の形成推進事業計画の一環である北陸スーパーテクノゾーン構想の実現に向けた取組みを行なっていく。


北陸スーパーテクノゾーン構想は、地方圏の経済基盤の強化を目的として、複数県を対象に質の高い研究開発関連施設や、開発の基盤となる情報へのアクセスを容易にする情報関連施設の整備を推進すると同時に、産・官・学の広域的な連携を促し、創造的な経済地域の形成を目指すものである。今年度内に全国8カ所での設定が予定されており、中部通産局において北陸三県をその1ゾーンとすることが検討されている。


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