第111回景気動向専門部会(司会 遠藤理財部長)/11月10日
景気は弱い動きが続く中、先行き明るさも
景気動向専門部会では、最近の経済動向について関係省庁および日本銀行より説明を聴取するとともに、ジャパンプレミアムの問題について意見交換を行なった。足元の景気は引き続き弱含んでいるが、円高是正や経済対策の効果により、今後、設備投資の緩やかな回復、公共投資等の政策的需要の増加が期待され、先行きに明るさが感じられ始めているとの意見が出された。以下は、懇談の概要である。
- 景気の先行きに明るさが
- 9月の生産は輸送機械などの不振により前月比1.7%減となるなど依然弱含んでいる。
また、回復の兆しが見られつつあった設備投資も、7〜9月期は下方修正となった。
一方、耐久消費財の購入意向が増すなど個人消費は総じて緩やかな回復が続いてきたが、7〜9月期には所得・雇用環境の悪化による影響も見られる。
こうした中、8月の景気動向指数は一致指数が4カ月連続して50%を割るなど、景気は足元で弱い動きが続いている。
- 10〜12月期以降は経済対策の効果などにより、息切れしていた公共投資や住宅投資の持ち直しが期待されるほか、円高の修正もあり、電機、紙パ、化学など製造業を中心に設備投資計画が上方修正されている。
生産の予測指数も10月は前月比3.4%増、11月同0.0%増と予想され、10〜12月は前期比で増加に転ずるものと見られる。また、在庫は建設関連資材を中心に意図せざる積み上がり局面にあるが、年明け以降はこれも解消に向かうものと見られる。
- ジャパンプレミアムの影響
- 10月下旬に大手邦銀で0.6%、格付けの低い銀行で1%に達したジャパンプレミアム(邦銀が海外市場で資金調達を行う際に求められる上乗せ金利)も現在は縮小傾向にある。
ジャパンプレミアムの発生は、日本の金融システムへの不信感が背景にあるが、年末要因による邦銀のドル資金需要の高まりがスプレッドを拡大させた。
- ジャパンプレミアムは銀行の業務純益や外貨資金調達に悪影響を及ぼす一方、日本企業の海外現地法人も邦銀から金利上乗せを求められている。そこで、企業としては直接金融や外銀との取引の拡大による対応を進めている。一方、銀行は円資金を調達し、これにスワップをかけ、ドル資金を調達しているが、これにより国内金利を上昇させていると見る向きもある。
- 季節的な要因によるジャパンプレミアムは短期に解消に向かうが、金融システム不安等の要因による部分は暫く残るとの見方が多い。
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