経済法規委員会(委員長 安西邦夫氏)/11月2日

民事訴訟法改正に関する動向等について、法務省民事局幹部と懇談


法務省ならびに法制審議会において、来年の通常国会提出を目途に、現在、民事訴訟法改正作業が進んでいる。経済法規委員会では、これまでに2回にわたり意見書を法務省に対して提出するなど、適正な改正が行われるよう働きかけてきたが、改正要綱の取りまとめを前に、11月2日に委員会を開催し、法務省の山崎大臣官房審議官ならびに柳田大臣官房参事官から改正の動向について、説明を聞いた。席上、改めて経済界の要望を直接法務省側に伝え、今後の取りまとめにおいて反映されるよう要請した。以下はこれまでの民訴法改正の動向ならびに経団連の取組みである。なお、民事訴訟法改正の動向については、第 569回理事会(11月14日)において末廣会社法部会長から報告を行なった。

  1. 民訴法改正に関する経団連の取組み
  2. 法務省ならびに法制審議会では、民事訴訟制度を、国民に利用しやすく、わかりやすくすることを狙いとして、1990年から5年計画で民訴法の全面的な見直し作業を行っている。経団連では、92年と94年の2度にわたって法務省に意見を提出し、企業活動に支障をきたすことのない形で改正が行われるよう働きかけてきた。加えて、各業界・企業の実務家から成る民訴法改正に関する打合会を設置し、その場で、法務省幹部と直接意見交換を重ねることで、経済界の考え方が理解されるよう努めてきた。

  3. 改正のポイント
  4. 経団連では、米国のような濫訴社会を招かぬよう、わが国の実情にあった制度にすべきであるという基本的な考え方に立って、経済界にとって特に影響が大きいと考えられる、証拠収集手続の大幅な拡充、ならびに、訴訟への参加者を募る広告制度の創設に対して重点的に反対意見を述べてきた。

    証拠収集手続、特に証拠として提出を求められる文書の範囲に関しては、原則として当事者が所持する文書全てを証拠として提出することを義務づけるべきとする案が改正要綱試案において提示された。このため、経団連からは、このように広い範囲で文書の提出が義務づけられると、企業活動に極めて大きな影響を及ぼすということで、反対を主張し、調整が行われてきた。この結果、営業秘密に該当する文書ならびに、稟議書等の自己使用文書・内部文書については文書提出義務の対象から除外することが現在検討されているといわれる。

    今後この提出義務のない文書の範囲を、できるだけ明確化・具体化していくよう、さらに法務省へ要望していく。

    また、原告が訴訟への参加者を募る広告制度の創設に関しては、経団連から、濫用の恐れが強いこと、制度自体に伴う法律的問題があること等を理由に反対を主張している。


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