輸送委員会物流部会(部会長 常盤 文克氏)/11月20日

今後の有料道路制度のあり方


高速道路料金問題は、物流コストの引下げに取り組む企業にとって極めて大きな関心事項である一方、21世紀の国土づくりを視野に入れた全国的な道路整備のあり方を考える上でも重要なテーマである。輸送委員会・物流部会では建設省道路局の木下次長および菊地高速国道課長を招き、本年9月に道路審議会・有料道路部会がまとめた「今後の有料道路制度のあり方についての中間報告」を中心に説明を受けるとともに懇談した。

  1. 木下次長挨拶
  2. 今回の中間報告は、
    1. 今後料金を基本的に抑制するなかで、高速道路をどう整備していくか、
    2. 料金改定システムの透明性、公開性をどう確保していくか、
    3. 償還期間満了後、利用者が現在と同様なサービスを受けるためにはどうすればよいのか、
    ということに主眼を置いている。
    米、仏などでは、道路ストックをいかに効率的に活用するかが道路整備の課題となっているが、わが国では欧米に比べ高速道路建設の着手が遅れたこともあり(昭和30年代)、建設、管理の両方が課題となっている。今後は投資余力のあるこの10数年の間に限られた財源のなかで円滑な交通ネットワークを構築していかなければならない。

  3. 菊地課長説明要旨
    1. 大都市等の混雑解消や地域社会の連携強化を図るため、現在計画されている高規格幹線道路(1万4,000km)を早期に完成させる必要があるが、料金上昇の抑制を図りつつ、採算性を確保しながら着実な整備を進めることが課題である。

    2. この課題に応えるため、高速走行可能な一般国道の自動車専用道路を整備して高速道路の機能を代替させ高速道路プールへの負担を軽減すること、公的助成の拡充、償還期間を現行40年から50年程度に延長する方策、用地費を償還対象経費から除外すること等が必要である。さらに経費節減について日本道路公団の自助努力を求めるとともに、増収を図るべく、利用促進に向けた割引制度の拡充や、地域、季節毎の需要変動に応じた料金の割引、割増等弾力的な制度の導入も検討することが重要である。

    3. 道路整備計画自体が国民の理解を得られても、計画を遂行するための料金値上げは理解を得られにくい。そこで、計画策定と同時に料金見通しも公表する必要がある。

    4. 高速道路が質の高いサービスを維持するためには、償還期間満了後であっても維持管理費を徴収することが合理的である。

  4. 経団連側発言要旨
  5. 縦割り行政の弊害もあり、現状では道路と他の海・空などのモードとのアクセスが悪い。より工夫を行い、効率的な交通ネットワークを構築する必要がある。


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