日タイ貿易経済委員会(司会 瀬谷委員長)/11月27日

公共交通システムの整備がタイの急務


日タイ貿易経済委員会では、来日中のタイ国家経済社会開発庁(NESDB)サンサーン副長官およびソムチャック顧問と懇談した。NESDBでは現在、来年10月から始まる第8次経済社会開発5カ年計画の策定作業を行なっているところであり、会合では第8次計画の骨格やタイが目指す経済社会の姿などについて意見交換を行なった。以下はNESDB側の説明の概要である。

  1. 第7次計画の成果
  2. 第7次計画(91年10月〜96年9月)は、
    1. 8%の平均経済成長率の維持、
    2. 経済開発の成果の地方への波及、
    3. 人材開発・環境保全への配慮、
    の3点に重点を置いて進めてきた。中間レビューでは、経済成長率は平均8%と目標を達成し、輸出伸び率は16%で目標(14.7%)を上回った。他方、バンコクと地方との所得格差やバンコクの交通渋滞は、依然未解決である。

  3. 第8次計画の重点、策定のプロセス
  4. 第8次計画(96年10月〜2001年9月)で目指すのは、持続可能な開発(sustainable development)を実現して国民生活の質(Quality of life)を向上させることである。そこで次期計画では、
    1. 人材開発、
    2. 地方開発、
    3. 経済システムの効率化、
    4. 公共部門のマネジメントの改善、
    の4点を重視する。計画策定にあたっては、全国で会合やセミナーを開催して国民のニーズを聞くとともに、人材開発、農村開発、経済システム効率化の3つの部会を設けて具体的な検討を行なっている。これからの1カ月が計画原案策定の最終段階であり、96年1月には閣議へ原案提出の予定である。

  5. 具体的な目標
  6. 第8次計画の実施期間中は、平均8%の経済成長が可能と見込んでいる。また、農村部ではアグロインダストリーに、工業では環境へのインパクトが小さい産業に重点を置いて開発を進めたい。インフラ整備にも努め、都市間高速道路網の整備やバンコクの渋滞の解消等に取り組む予定である。
    中長期的には、バンコク近郊にいくつかニュータウンを建設して、現在バンコクに集中している各種機能をそこに分散していきたい。そのためにも、バンコクとニュータウンとを結ぶ大量高速輸送システムを早期に開発する必要がある。

  7. 南部臨海地域開発計画について
  8. レムチャバン港を中心とする東部臨海地域の開発は、日本の協力等を得て順調に進んでいる。これに続くべく、タイ政府では現在、南部臨海地域開発計画を検討している。計画の中心となるのは、アンダマン海側のクラビーとタイ湾側のカノムとを結ぶランド・ブリッジ構想であり、高速道路や石油パイプライン、製油所の建設等が主要プロジェクトとして検討されている。


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