第539回常任理事会(議長 豊田会長)/12月5日

最近の日米関係について


第539回常任理事会では、外務省柳井外務審議官より、最近の日米関係について話を伺った。柳井外務審議官は、日米関係について、「日米両国は、自由、民主主義、市場経済原理などの価値観を共有するとともに、経済、安全保障面を中心に相互依存関係にあり、良好な日米関係は、わが国の繁栄に不可欠である。」と発言された。
以下は、柳井外務審議官の説明の概要である。

  1. 冷戦終結による国際環境の変化、貿易不均衡を背景として、日米間では、経済問題が前面に押し出される傾向がある。今後、良好な日米関係を維持・発展させるためには、(1) 政治・安全保障、(2) 経済、(3) グローバルな協力の3本柱からなるバランスのとれた日米パートナーシップを一層を強化していくことが必要である。

  2. NATOとワルシャワ条約機構の対立構造が、一気に崩壊したヨーロッパと異なり、アジア・太平洋地域では、中国という核保有国や、南北に分断された朝鮮が依然存在し、冷戦終結によっても、枠組みの大きな変化は生じていない。ロシアも不安定である。
    わが国の安全確保のためには、日米安全保障条約に基づく抑止力が不可欠であり、また、駐留米軍は、アジア・太平洋諸国に安心感を与えている。

  3. したがって、今後とも、日米安保体制の信頼性の向上と、その円滑な運用のための日本側の協力関係が必要であり、物品・役務融通協定などの米軍と自衛隊との協力、FS-Xの開発・生産、戦域ミサイル構想(TMD)の研究が課題である。

  4. 沖縄県での暴行事件に関しては、凶悪な犯罪の場合、起訴前でも犯人を日本に引き渡す道を開き、日米地位協定の運用改善がなされた。

  5. 在沖縄米軍基地集中の問題については、村山・ゴア会談の結果、「沖縄における施設および区域に関する特別行動委員会」が設置され、(1) 施設・区域の集中に留意し、日米安保条約の目的達成と調和を図りつつ、整理、統合、縮小を実効的に進めるための方策、ならびに、(2) 訓練、騒音、安全に係わる問題の改善について検討を行い、1年をめどに、提案を行うことになった。

  6. 経済問題については、自動車・自動車部品協議の決着を受け、小康状態にある。当面は、これまでの合意の着実な実行が求められるが、中期的には、個別案件を政治問題化する前に解決することが必要である。

  7. グローバルな協力という点では、コモン・アジェンダという二国間協力を実施している。
    これは、途上国の女性支援や、麻薬撲滅、環境・人口問題への対応など、将来の世代が直面することになる重大な地球的規模の課題の解決を目指すもので、世界で最も成功した協力関係である。


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