第48回九州・山口経済懇談会/12月6日

九州国際空港の実現など、九州地区の活性化をめぐって懇談


九州・山口経済連合会と共催により、標記経済懇談会を福岡市において開催した。「活力と創造性あふれる経済社会をつくる」を基本テーマに、当面の経済運営に係わる重要課題、活力ある国土づくり、アジアと九州の国際交流の推進等をめぐって意見交換した。
当日は、九州側から川合九州・山口経済連合会会長ら地元経済人約 200名が、経団連からは豊田会長、久米・鈴木・米倉・三田・末松・青井・樋口・今井の各副会長が出席した。

  1. 川合九経連会長(九州電力会長)開会挨拶
  2. 川合九経連会長

    九州経済は足踏み状態が続いている。この不況は循環的要因でなく、構造的な要因によるところが大きい。九州経済界として、自立的な経済圏の形成に向け種々努力している。
    現在、

    1. 高速道路や九州新幹線等の交通体系の整備を通じた、域内の循環体制の充実、
    2. 「テクノマザーランド構想」をはじめ、産業構造の高度化に向けた技術開発の推進、
    3. アジアとの交流拠点機能を充実するための九州国際空港ならびに九州国立博物館の実現、
    などに取り組んでいる。
    九州経済界は一体となって、こうした取組みを推進している。経団連の理解と支援をいただきたい。

  3. 懇 談
    1. 景気の現状と経済運営
      大野 茂氏
    2. 〔九州・山口経済連合会副会長/九州電力社長〕

      九州の景気は依然として足踏み状態にある。95年9月現在の鉱工業生産指数は、106.4 であり、全国平均の93.0よりは高い水準にあるものの、景気回復の状況は一進一退である。完全失業率も円高不況以来の高水準となっており、雇用情勢の一層の悪化が懸念されている。会員アンケートによると、景気の本格的な回復は、96年夏以降であるとの見方が大宗を占め、先行きに対する見通しは厳しいものとなっている。
      今後の経済対策として、規制緩和と行政改革の徹底に加え、所得税減税の継続、地価税の見直し等の土地対策、不良債権問題の早期解決、為替レートの安定などが望まれる。
      九経連の進める重要プロジェクトとして、九州国立博物館の誘致ならびに航空宇宙産業の振興があり、政府に対し予算措置の拡大を求めている。

    3. 規制緩和・行政改革への期待
      和智 午郎氏
    4. 〔九州・山口経済連合会副会長/西部ガス会長〕

      規制緩和においてまず重要なのは、政府の規制緩和推進計画の着実な実行を図るため監視体制を強化することである。第2は、目的の明確化、事前・事後評価の実施などを通じて、国民、とりわけ地域の住民にわかりやすく説明し、幅広い支持をとりつけることである。第3は、新産業・新事業創出を促すことである。とりわけ、アジア諸国との共生を目指した地域産業の育成・強化が必要であり、そのための規制緩和に取り組むべきである。第4は、規制緩和の中期的な推進体制として、恒常的な機関の設置や規制緩和推進法(仮称)の制定を検討することである。
      一方、地方分権については、広域交流圏の実現のためにも地方行財政システムの確立が不可欠であり、規制緩和と一体的に進める必要がある。

    5. 新しい国土計画への期待
      安藤 昭三氏
    6. 〔九州・山口経済連合会副会長/大分銀行頭取〕

      国土審議会の「新しい全総計画の基本的考え方」において注目されるのは、

      1. 地域間の連携と新しい広域交流圏の形成を進めることにより地域の自立的発展を促そうとしていること、
      2. アジアとの関係を深化させることを重視していること、
      などである。
      当地域は第一国土軸と太平洋国土軸、日本海国土軸の結節点にあり、地域間、都市間の連携が形成しやすい。その意味で、高速交通体系の整備が特に重要となるが、整備が遅れている東九州における高速自動車道を整備することにより、域内循環を高める必要がある。
      また九州新幹線については、鹿児島ルートにおける八代〜西鹿児島間の計画期間内の完成と博多〜八代間のフル規格での早期着工、長崎ルートの早期着工が課題である。加えて環黄海経済圏との交流を深め、国際連携軸を形成することも重要である。

    7. アジア諸国との交流への取組み
      野崎 元治氏
    8. 〔九州・山口経済連合会副会長/十八銀行頭取〕

      「世界の成長センター」と呼ばれるアジア諸国との交流を深め、そのエネルギーを活用して地域内循環を拡大することが、地域浮揚の鍵である。九州は、四全総のなかでも「アジア太平洋地域との地理的近接性と交流の実績を活かした南の国際交流拠点」と位置づけられ、五全総でも「アジアとの交流拠点」としての地域形成が求められると思われる。
      九州とアジアとの交流は、人、もの、資本、情報等の様々な面でますます拡大し、深まりを見せており、同地域との貿易額、渡航者数等は全国平均を上回っている。
      アジア諸国との交流の促進に向けて九州国際空港の実現に取り組んでいる。候補地の1本化に向けた第三者機関を年内にも設置し、1年程度の間に調査結果をまとめる計画である。また国際競争力のある拠点港および航路の整備を進め、アジア諸国との交易拡大を図るとともに、アジアに関する情報・研究機関のネットワーク化を図るなど、ハード面での課題と並行してソフト面にも力を入れていきたい。


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