日本ブラジル経済委員会(委員長 齋藤 裕氏)/12月5日

ブラジル農業の経営基盤の強化に向けて


日本ブラジル経済委員会では、ブラジル連邦共和国のヴィエイラ農務・農地改革大臣を招き、同国の農業政策および日本との貿易動向等を中心に説明を聞いた。同大臣は、冒頭「ブラジル、特にわが出身地パラナ州は日本との関係が深く、とりわけ農業分野においては日系移民からの影響を強く受けており、日系移民のこれまでの貢献に対して心より敬意を表したい」と強調した。以下はヴィエイラ大臣の説明の概要である。

  1. 農業における日本との貿易動向
  2. 94年の日本の食糧品の輸入は500億ドルにのぼっているが、ブラジルからの輸入は6億ドルと全体の1%をわずかに上回るにすぎない。ブラジルが高い国際競争力を誇る砂糖、コーヒー、カカオ、果汁等に関しては対日輸出の拡大に努めているところである。
    今回の訪問では、果物、野菜の日本市場への輸出を促進するため、日本政府(農林水産省)に対して検疫等非関税障壁に関する改善要請を行なった。また、果汁に対する関税率(30%)の引下げも要望した。

  3. ブラジルの農業政策
  4. 現在、ブラジルでは家族農業強化国家プロジェクトを実施している。本プロジェクトはセラード地域のみならずブラジルの南部およびアマゾン流域を対象とし、既に農地を所有している人に対して技術供与、職業訓練を行い、生産性を高めることを目的としている。1,500の貧しい市の零細農業を救済するために農務省と各州、各市が協力して実施しており、1,200万人以上の人を直接・間接的に支援することになる。本プロジェクトに関して今回、日本政府に対して10億ドルの円借款を申し込んだ。
    また、ブラジルでは農業は高いインフレ率の下、長い間保護されてきた分野であり、高い生産コストを最低保証価格によってカバーするという形をとってきた。しかし、レアル・プラン導入後、最低保証価格の凍結や開放政策による輸入の増加によって農業収益は大きく低下し、農業債務の増大といった問題が発生している。本問題解決のために、政府は農家が債務を7〜10年間で支払う際、最初の2年間は金利を免除し、3年目から年間3%の低利で返済するという特別なプログラムを検討中である。その他、農業生産者を救済するために、農産物の輸出関税の引下げや消費税率の5%引下げなどが検討されている。

  5. セラードの環境問題
  6. 政府としても、セラード地域の環境保全と農業開発のバランスが大切であると認識している。農薬が生態系に与える影響を考慮し、害虫駆除の近代的手法の開発や農業開発地域と保護地域の区分け等を進めている。


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