今こそ、民間が、痛みを乗り越えて、新しい国づくりを実行する時

椎名 武雄 行政改革委員会規制緩和小委員会座長


  1. 規制緩和は新しい国づくりである
  2. 行政改革委員会・規制緩和小委員会は、12月8日に、これまでの検討成果を、「光輝く国を目指して」と題する報告書をとりまとめたが、その中で、明治維新や戦後復興に匹敵する新しい国のリストラの中で、規制緩和を捉えるべきであることを訴えている。
    民間としても、多様な規制形態の保護のもとに、既得権益のぬるま湯にひたっている状況を、自らの手で打ち壊していかねばならないと考える。
    競争の結果、便益が向上すると同時に敗者がでてくる。しかし、敗者は、弱者とは違う。参入を自由にし、敗者であっても、再び競争に加わる仕組みをつくるべきである。高齢者などの弱者については、別途、国として保護の仕方があると考えている。各論について、小委員会では、時間的制約から分野ごとに絞った検討を行なったことや、タイミングのズレがあったために、経団連の幅広い要望のうち、報告書に取り入れたのは、一部に止まっている。
    政府では、民間の要望を聞きながら規制緩和推進計画を改訂するという閣議決定を行なっており、その中で、経団連の要望もとりあげられるべきと考える。また、規制緩和小委員会としても、年度末に向けた活動の中で、政府の改訂作業に注目していきたい。
    各論について、廃止としているものもあれば、検討すべきとなっているものもある。これは分野・項目によって、規制緩和の機が熟しているのもあれば、これから火種をつけ、風をおこしていくものの両面があるからである。検討するという表現も、3年のローリングの中で検討するのであり、決してお茶をにごすということではない。いずれにせよ、報告書の総論と各論を通して、規制緩和の方向性や論理を明確に示すことに努めた。

  3. 民間も責任を自覚せよ
  4. 個人的に感じるのは、総論賛成、各論反対で、規制緩和が遅々として進まないと言われるが、多少風がふいてきた。報告書を提出してから、行政や政治家の発言の中に、報告書の線に沿った線で、前向きに進むという話も出ている。
    規制緩和が進まないのは、行政や政治だけの責任ではない。民間も、相当の責任を感じなければならない。まず、自ら会社や業界で率先して規制を返上していく覚悟を示していただきたい。
    光り輝くわが国、日本をつくるわれわれの責任を果たすためにも、次の世代を背負う人々の為にも、今こそ、痛みを乗り越えて、新しい国づくりを実行する時である。


日本語のホームページへ