中南米委員会(共同委員長 宮岡 公夫氏)/12月4日

日本・コロンビア協力プロジェクト構想が具体化に向け進展


95年3月、サンタフェ・デ・ボゴタで開催の第2回日本コロンビア経済委員会合同会議において、両国の協力プロジェクトを推進する旨、合意された。これを受け、中南米委員会では、95年6月に具体的なプロジェクト構想をコロンビア側に提案し、日本国際協力機構(JAIDO)の協力を得つつそのフォロー・アップを進めてきた。この結果、9月には、コロンビア政府より日本政府に対し太平洋岸トリブガにおける新港建設に係る開発調査について要請がなされ、また10月には、JAIDOとコロンビア石油公社との間で石油精製所建設に係るプレ・フィジビリティ・スタディを行う旨の合意書が調印されるに至った。
そこで、中南米委員会では、外務省経済協力局の牛尾滋開発協力課首席事務官よりトリブガ港開発調査の採択可能性について、また、JAIDOの由布震一社長より石油精製所建設プロジェクト構想の進展状況について、それぞれ説明を聞くとともに懇談した。
以下は牛尾首席事務官の説明の概要である。

  1. コロンビアは、アジアとの関係強化のため、太平洋岸に新港の建設が必要だと考えている。現存のブエナベントゥーラ港は能力が小さく、2010年には飽和する見通しである。このためコロンビア政府より、経団連の提案を踏まえ、95年9月、日本政府に対しトリブガ港建設開発調査について正式に要請があった。

  2. トリブガ湾は、他の候補地に比べ水深が深く奥行きもあり、将来、拡張も可能である。コロンビアが米国のコンサルタントに依頼した調査で同湾が新港建設に最適とされた。また、87年の海外運輸コンサルタンツの調査でも適地とされている。同地域は後背地に炭田があり、コロンビア最大の工業都市メデジンに至近である。他方、ジャングルに囲まれており、生物種多様性の宝庫でもある。このため、周辺インフラ、アクセス道路の整備および環境保護に係る総合的な港湾開発調査が必要である。同地域はゲリラの活動域外であり治安の問題はない。コロンビアは、同港を将来の太平洋岸における貿易拠点と位置付けており、石油を輸出するためのパイプラインを建設する構想も有している。

  3. コロンビア政府は、
    1. 港湾コンビナート建設および投資のためのマスタープラン作成、
    2. 短・中・長期の各段階から予測したトリブガ港の開発ポテンシャル、
    3. 港建設工事のための中・長期投資計画作成、
    4. 環境アセスメント、
    5. 港湾総合開発計画の経済評価、
    等の調査を要望している。調査はJICAが行うことになる。将来、調査内容によっては円借款に繋がる可能性は大きい。港湾プロジェクトは規模が大きいが、コロンビアは債務返済問題に心配がない国である。本案件は対コロンビア協力案件の中で最有力の案件であり、96年度案件として採択したい。96年3月までに結論を出す予定である。


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