立石信雄部会長
再販制度の下、協調的な企業行動が促され、競争が制限される恐れがある。例えば新聞の場合、過去に4回、価格の同調的値上げが実施された。書籍の場合、再販契約を結ぶかどうかは出版社の自由とされながらも、実際は、取次と再販契約を結ばないと出版できないとする業者が多数を占める。
再販制により流通システムが固定化し、事業者が消費者の多様なニーズに対応することを怠りがちになる。その結果、書店で消費者からの書籍の注文を処理するのに時間がかかる、コンビニなどで一般新聞を入手できないなどの不便が生じている。
書籍・雑誌については、再販制により値引き処分ができないため、売れ残った商品の廃棄率が高く、資源の有効利用からみても問題を生じている。また新聞の場合、値引き勧誘ができないことが、過大な販売促進費の支出や過剰な景品付き販売などをもたらしている。
12月に発表された行政改革委員会規制緩和小委員会の最終報告で、著作物の再販制見直しは、継続審議事項となった。報告書が出るまでマスコミは連日、自社媒体を通して見直し反対の大キャンペーンを展開したが、われわれには自前のメディアが無いので、論点を公平に国民に伝える機会が無かった。結論はともかく、論点を広く公開し、国民ベースでの議論をすることが真の言論の自由につながるのではないか。