経団連意見/1月8日

規制緩和を中心とする通信行政の抜本的な見直しを求める


政府では、NTTのあり方について本年度中に結論を得ることとしており、現在、郵政大臣の諮問機関である電気通信審議会において来月の答申に向けて具体的な審議が行われている。
先般、経団連では、このNTTのあり方を含む今後の情報通信市場のあり方に関する見解を取りまとめ、関係各方面に提言した。以下はその概要である。

  1. 問題意識と基本的考え方
  2. 国内通信市場の現状と課題(略)
  3. グローバル競争の現状と課題(略)
  4. 高度情報通信ネットワーク社会に向けた現状と課題(略)
  5. 今後の情報通信市場のあり方−競争の枠組み
    1. 公正有効競争条件の整備
      1. 政府措置の内容の見直しと法定・ルール化
        【法定・ルール化すべき事項】
        1. 事業部制の徹底と内部相互補助の防止
        2. 情報流用の防止
      2. 相互接続の法定・ルール化等
        【法定・ルール化すべき事項】
        接続の義務づけ、接続に要する期間、接続に必要な機能および機能毎のコストのアンバンドリング等。
        その際、標準的インタフェースの提示とその準備コストのNTTによる負担、NTTのコスト情報の開示の義務づけ、増分コストに基づく事業者間接続料金の設定が必要。
      3. NTTに対する非対称規制とプライスキャップ制の導入

    2. 地域通信市場における競争の促進
      1. 競争促進のための措置
        【ネットワーク・インフラの競争を促進 するための措置】
        1. 電柱・管路・電力鉄塔等の開放、道路・河川占用規制の緩和
        2. 新たな周波数の開発
        【サービスの競争を促進するための措置】
        相互接続に関わる上記の措置、番号桁数の同一化、番号ポータビリティの確保等
      2. 加入者回線のオープン化の徹底
      3. ユニバーサル・サービスのコスト負担のあり方を検討することが必要。

    3. 規制の見直し、ルール策定・監視機能の強化
      1. 電気通信事業法等の見直し
        市場区分の撤廃、需給調整条項の撤廃、役務種類の変更許可制の届出制への緩和、業務委託認可制の弾力的運用・受託者範囲の拡大、料金・約款認可制の届出制への緩和・プライスキャップ制の導入、相互接続の法定・ルール化、外資規制の緩和に向けた見直し、事業者区分の見直し
      2. NTT法の見直し(競争の進展に伴い将来は廃止)
        取締役・監査役選任等決議認可制の撤廃、事業計画認可制の撤廃、外資規制の見直し、アプリケーションの開発・コンテンツ分野への進出にかかわる公正競争条件の明確化
      3. KDD法の廃止
      4. ルール策定・監視機能の強化等
        行政組織の肥大化につながらぬよう配意しつつ、独立した透明性のある機関を設置することも十分検討に値。

    4. 研究開発のあり方
    5. 研究開発のあり方は情報通信産業の国際競争力に重要な影響あり。
      1. 主要通信事業者による研究開発開始当初から国内外の通信事業者・通信機器メーカー等との連携促進が必要。
      2. 新たなアプリケーション開発に向け独創的なベンチャー企業支援の仕組みの充実が必要。ネットワーク・インフラの高度化に向け通信事業者による先行投資が肝要。
      3. 基礎研究については国公立研究機関・大学が主要な役割を担うことができるような環境整備が重要。実用化研究については事業に直結した形で行われることが不可欠。

  6. おわりに
    1. 規制緩和を中心とする通信行政の抜本的な見直しが必要であるというのが結論。

    2. なお、上記見直しに加えて、NTTに対するいわゆる構造的措置が必要との意見もあり。
      そこで、上記見直しに加えて、さらにNTTに対して構造的措置を講じる必要性の有無について検討した結果、構造的措置が問題解決の一つの手段として有効であるという意見と、構造的措置は不要であり、かえって弊害が多いとする意見あり。

    3. いずれにしても、規制緩和を中心とする通信行政の抜本的な見直しを可及的速やかに、かつ確実に実行することが緊要。その際、実行を担保するために、それら一連の措置の実行スケジュールを明確にするとともに、進捗状況を定期的に公表することが必要。


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