日本ブラジル経済委員会(委員長 齋藤 裕氏)/1月24日

第6回日本ブラジル経済合同委員会(2月27・28日)開催に向けて


日本ブラジル経済委員会では、1月24日、第6回日本ブラジル経済合同委員会に向けた準備の一環として、塚田駐ブラジル新大使ならびに佐藤外務省中南米局長を招いて会合を開催し、ブラジルの政治・経済の近況について説明を聴取した。塚田大使は「日伯修好100周年記念行事の締めくくりとなる今次合同委員会が、21世紀を見据えた両国経済関係の拡大への契機となることを期待する」旨、強調した。以下は佐藤局長の説明の概要である。

  1. 変貌する中南米とブラジル
  2. 中南米は「失われた10年」の80年代から、安定と発展の90年代へと変貌しつつある。各国は90年代に入ると政治的安定化、経済開放化の政策が定着し、地域主義・地域統合の動きも着実に進展しており、アジアに次ぐ成長地域として国際的に注目を集めている。特にブラジルは92年末以降、好調な輸出に支えられ経済は回復基調に転じ、94年7月からのカルドーゾ政権によるレアル・プランの導入によって、懸案であったハイパーインフレが93年の年間2500%から、94年は930%、95年が20%台へと急激に鎮静化するなど経済の安定化が定着しつつある。

  3. 現政権下の政治・外交状況
  4. 現在ブラジルでは、石油、電気通信、都市ガス供給等の事業の民営化や内外資本差別の撤廃など経済秩序の見直しに関する憲法改正ならびに社会保障制度・税制・公務員制度等、財政改革に関する関連法案の見直しが進められている。大統領に対する国民の期待は大きく、政権は安定している。
    外交面では昨年、大統領自ら米国をはじめアルゼンチン、チリなど14か国を歴訪し、またPKOや国連改革にも積極的に関与するなど国際社会において、重要な役割を担おうと活発な外交活動を展開している。

  5. 民営化の現状
  6. 民営化はブラジル経済近代化の柱であり、91年10月のウジミナス製鉄所の民営化後、95年7月までに38企業の民営化を実施した。売却による95億ドルの収入と36億ドルの国債削減によって131億ドルの収益があり、財政収支の改善に向けられた。今後は、民営化の方法・規模等不明な点が残されているものの、ブラジル最大の国営企業であるリオドセの民営化が大きな目玉となる。

  7. 地域統合の現状
  8. メルコスールは着実な歩みを見せており95年1月には、一部の品目を除いて、域内4カ国の関税は撤廃され、域外に対しても共通関税をもつに至った。今後、99年までに域内関税が完全に撤廃され、2005年には域外関税もすべて4カ国共通になる予定である。また、メルコスールの盟主であるブラジルを中心に、NAFTA、EU、さらには94年12月マイアミで開催の米州サミットで打ちだされたFTAA構想(2005年までに米州全域において貿易の完全自由化を目指す)等、他の地域経済統合との関係強化に向けた動きが活発化しつつある。


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