日本・香港経済委員会(委員長 秋山富一氏)/1月22日

第18回日本・香港経済合同委員会を開催


日本・香港経済委員会は、香港側の組織である香港・日本経済委員会(レイモンド・チン委員長)との間で毎年、交互に合同委員会を開催しており、今回は香港で開かれた。同会議のほか、日本側メンバーは、クリストファー・パッテン香港総督、アンソン・チャン行政長官とも面会し、今後の日本と香港との経済関係などをめぐり意見交換を行なった。また、日本側は、合同委員会終了後、1月23日〜24日、中国福建省福州を訪れ、地方政府関係者と面会し、福州の投資環境などについて説明を受けるとともに、福州経済技術開発区を視察した。

  1. 第18回日本・香港経済合同委員会 共同声明
  2. 〔英文正文・和文仮約〕
    1996年1月22日

    第18回日本・香港経済合同委員会は、1996年1月22日、秋山富一日本側委員長とレイモンド・チン香港側委員長が共同議長を務めるなか、香港で開催された。会議には池田行彦外務大臣とクリストファー・パッテン総督の祝辞が寄せられた。

    合同委員会では、日本の経済対策や今後の見通し、香港の経済情勢など、双方にとって関心のあるテーマについて、幅広く議論した。95年は香港の競争力に改善が見られたことで注目された。

    日本側は、香港からの対日投資の重要性を強調するとともに、日本市場における香港製品のシェアを増やすための方策をめぐり、香港側と意見を交換した。日本の輸入が増加するのに対して、香港企業として、いかに対応すべきかについても話し合った。さらに、香港の製造業者や輸出入業者が、変わりつつある日本の卸売・小売市場を前に、どのような輸出戦略を立てるべきかについても検証した。会議参加者は、近年、香港の対日輸出が増えていることを歓迎した。その要因について日本側は、日本の輸入業者や消費者の間で香港製品に対するイメージが良くなったこと、中でも品質、デザイン、技術の面で向上があったこと、消費者ニーズへの対応の点で改善が見られたことなどを指摘した。また、日本市場に香港製品をさらに浸透させるためには、香港製品のブランドやアフター・サービスの充実に一層の努力を払うことが有効であると示唆した。

    海外投資について日本企業は、中小企業を中心に引き続き関心を持っている。日本企業にとっての香港の魅力についても議論し、例えば、インフラ関連プロジェクト、ハイテク分野の製造業、サービス部門などの将来性をめぐり意見交換を行なった。

    香港経済の現状と今後の見通しについて検証した後、1997年以降の香港のビジネス環境についても議論した。日本側は、今後とも香港は自由な貿易港として、税率の低さや公正な法制度、この地域における戦略的な位置づけなどの利点により、アジアの経済発展にとって重要な役割を担い続けるだろうと指摘した。また、香港は、地域の拠点、中国への窓口、さらにはアジアの物流基地として、これまでにも増して多くの日本企業を引きつけるであろうとの見方が示された。

    最近、中国の首脳は複数の声明の中で、中国としては、香港が持つ高度の自治と経済のダイナミズムを将来にわたって維持することを強調している。このような中国の強い意思表示について、日本側は、香港の将来に対する日本企業の信頼を高めるうえで重要であるとの見方を示した。中国が第9次5カ年計画に沿って、1997年以降も経済発展を続ければ、ビジネス・センターおよび対中国投資の中継地として香港はますます重要な役割を果たすようになると考えられる。

    最後に、95年11月のAPEC大阪会議によって域内の経済発展は大きな弾みをつけたことについて検証が行われた。APECが掲げる貿易自由化について実現した際、どのようなことが期待できるかについて議論した。

    第19回日本・香港経済合同委員会は1996年末に東京で開催される。

    今回の合同委員会終了後、日本側メンバーは、中国経済の現状を理解し、ビジネスの可能性を探るため、香港貿易発展局が企画したプログラムに沿って、2日間にわたり福州を訪問することになっている。

     パッテン香港総督と懇談する秋山委員長

  3. 中国福建省福州の視察
    1. 福州の概要
    2. 福州市は福建省の省都で、海を隔てて台湾と面している。台湾とは飛行機で25分の距離にあり、台湾からの投資を多く受け入れている。福州の人口は560万人であり、沿岸には天然の良港が多く、漁業資源にも恵まれているほか、米、果物、花などを生産している。福州は多くの華僑の出身地でもあり、潤沢な華僑資本を背景に持ち、香港、マカオ、台湾をはじめ世界50カ国で活躍する250万人の華僑との繋がりが強い。市内には、福州経済開発区などの経済開放区が10カ所以上もあり、中国の主要都市のなかでも有数の成長率を誇る。米国、英国、日本、韓国、ASEANなど約30カ国から外国企業が進出しており、外資系企業約1,600社が現地で30万人の雇用を生み出している。

    3. 視察の日程
    4. 福州では、日立製作所の合弁事業である福建日立電視機有限公司の工場を見学した。同工場は、81年からカラー・テレビを生産している。日本人は2名だけで、現地で約 1,500名を雇用しており、年間70万台以上の生産能力を持つ。
      地方政府関係者については、施性謀(Shi Xing Mou)福建省副省長、習近平(Xi Jinping)福州市共産党委員会書記と面会した。また、福州経済技術開発区では、張秋(Zhang Qiu) 管理委員会主任から同区の概要について説明を受けた。福州経済技術開発区内の保税区では台湾製品の展示会が開催されており、また将来の台湾との直接的な交易に備えて専用の埠頭が建設中であった。台湾との経済関係は緊密である。


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