今後の日米協力を考える部会(部会長 上原隆氏)/2月22日

日米経済関係は目下のところ穏やかに推移


今後の日米協力を考える部会では、外務省の西宮伸一北米第2課長を招き、4月に予定されているクリントン大統領の訪日への対応を含め、最近の日米経済関係について説明を聴取するとともに、種々懇談した。以下はその概要である。

  1. 最近のワシントン情勢
  2. 最近のワシントンの話題の中心は、クリントン大統領の一般教書演説と、これに対するドール共和党上院院内総務の応酬ぶりである。これについては、大統領に分があったとの意見が多い。
    対日通商問題については、一部の共和党候補に過激な主張も見られるが、クリントン大統領、ドール氏とも、大統領選挙の主要イシューとして取り上げていないこともあり、大きな問題となっていない。
    この背景には、趨勢として米国の貿易赤字に占める日本の割合が低下していることがある。クリントン政権は、現在のところ過去の通商協定の成果を宣伝することに注力しており、問題を煽るような動きは見せていない。

  3. 4分野問題について
  4. 池田外務大臣が就任直後訪米した際に、半導体、フィルム、航空、保険のいわゆる4分野について、米国側より優先的に協議を行うよう要請があったとの報道がなされた。
    しかし、一連の報道ぶりとは異なり、クリントン政権のこれらの問題に対する対応は穏やかである。なお、航空と保険については、日米双方とも問題があるとの認識で一致している。

  5. その他の通商問題
  6. その他の通商問題としては、わが国のレコード等の複製を禁じた音楽著作隣接権の保護の問題がある。わが国では1971年以降に録音されたレコードの制作者および演奏者の権利を保護することとしているが、欧米ではイタリアを除き概ね50年前まで遡及して権利を認めている。韓国やブラジルなども日本より権利の保護期間は長い。日本の制度が直ちにWTOの知的財産権協定違反というわけではないが、提訴される可能性もある。
    その他、わが国の豚肉輸入に不公正な障壁があるとする欧米各国の指摘や、米国による自動車・同部品合意の一方的モニタリング、規制緩和関連の問題がある。

  7. コモンアジェンダ
  8. コモンアジェンダは、日米包括経済協議の一環として行なっているものであり、ゴア副大統領も「第1級の成果」と評価している。今後は、民間の参加を得つつ、日米の枠を超えたグローバルな分野、協力に広げていきたい。


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