日本イラン経済委員会(委員長 相川賢太郎氏)/2月1日

イランを取り巻く国際情勢と日本イラン関係


中東和平プロセスの妨害、国際テロへの関与、大量破壊兵器開発などイランの行動に対する国際社会の疑念は依然として根強い。特に、米国では、昨年12月20日、上院において対イラン経済制裁の強化を目指すダマート法案が可決され、下院でも同法案が提出される予定である。そこで、日本イラン経済委員会では、法眼外務省中近東アフリカ局長よりイランを取り巻く国際情勢と日本イラン関係の展望について説明を聞くとともに懇談した。以下は法眼局長の説明概要である。

  1. イランを取り巻く国際情勢
  2. イランに対して強硬姿勢を取る米国のみならず、他国先進諸国、湾岸諸国の中にもイランの中東和平プロセスの妨害、国際テロへの関与、大量破壊兵器開発、国内人権問題等に対して懸念を抱いている国があり、同国を取り巻く国際情勢は、依然として厳しいものがある。

    過日、イラン外務省タヘリアン極東大洋州局長が外務省を来訪した際、

    1. イランがかかる国際的イメージの改善に努めなければ、外資導入の促進は困難である、
    2. わが国としては、特に米国との関係改善を望む
    旨説明した。

    米政府の対イラン制裁は、イラン・イラク二重封じ込め政策の一環である。昨年5月の制裁措置発令に続き、12月には、「関係企業および関係機関がイランにおける石油・天然ガス資源の開発に関連し4000万ドルを越える投資を行なった場合、一定の制裁を加える」という趣旨のダマート法案が上院を通過し、2月下旬から下院で審議される予定で、予断を許さない状況にある。

    イラクへの制裁は国連決議に基づくものであり、国際的に正当性を有するが、対イラン制裁は同調する国も少なく、正当性を欠いていると言える。

  3. わが国の対イラン政策
  4. わが国は、イランに対する厳しい措置は却ってその孤立化を助長することになり、イランの過激な政策を生み出だすことになりかねず、結果として国際社会にとっても好ましくないとの考えから、経済改革など現実的なイランの政策に対しては支援していく方針を堅持している。

    ただし、カルーン第4水力発電所建設プロジェクトに対する第2期分の円借款供与については、イラン内外の諸情勢の推移、ODA大綱等の観点から検討中である。

    なお、日本に対する債務返済については、オイル・スキームをベースとして遅れながらも真面目に返済していると聞く。

    経団連に対しては、大型代表団の訪問よりも、むしろ現下の状況を踏まえ、具体的なプロジェクトの発掘を目的とした実務レベルのミッション派遣を希望している。


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