日本トルコ経済委員会(委員長 関 和平氏)/2月2日

トルコの政治経済情勢とその展望


日本トルコ経済委員会では、2月14日から16日にかけてトルコのアンカラにおいて開催する第9回日本トルコ合同経済委員会にむけて準備会合を開催し、一時帰国中の都甲駐トルコ大使よりトルコの政治経済情勢とその展望につき説明を聞くとともに、懇談した。
以下は都甲大使の説明概要である。

  1. 混迷する政治状況
  2. トルコは、1923年の独立以来、アタテュルク初代大統領の敷いた民主主義路線を堅持しており、NATOおよびOECDの一員として西側寄りの立場をとっている。
    1983年のオザル政権成立までは、国家機能が麻痺する度にアタテュルク大統領の理念を強く引き継ぐ軍がクーデターを起こし、国家秩序の維持に努めてきた。オザル政権以降、民主主義の定着と経済の安定化に伴い、軍の役割は低下している。
    1993年のチルレル女史の首相就任は、トルコの民主主義のイメージを対外的に高めることになったが、国内においては、連立内閣による不安定な政治運営が続いている。
    昨年12月の総選挙では、現政権の正道党、共和人民党がともに議席数を減らし、イスラム福祉党が20%強の得票を得て第一党に大躍進するという結果になった。ヨーロッパ諸国には、トルコの西側寄りの姿勢を批判してきた福祉党の政権参加が、イスラム原理主義の台頭に繋がると懸念を示す向きもあるが、連立政権のもとでは、これまでの政策の大幅な変更は考えられない。
    いずれにせよ新政権は連立となるが、チルレル首相率いる第二党の正道党とイルマズ党首率いる第三党の祖国党との連立の可能性は低く、組閣に向けた政党間の駆け引きは、しばらく続くと思われる。

  3. 好調な経済状況と今後の展望
  4. トルコは、80年代より市場開放および国際競争力の強化を政策目標に掲げ、90年代初頭まで高い経済成長率を維持してきた。
    94年度はマイナス成長になったものの、国営企業の合理化・民営化等を中心に構造改革を実施し、財政赤字やインフレ、対外債務などの諸問題に取り組んでおり、95年度の成長率はプラスに転じた。過去10年間の平均成長率は、OECD諸国の中でもっとも高く、経済の底力のある国といえる。
    トルコの成長産業は、観光産業である。94年度は43億ドルの観光収入があった。活発な観光関連設備投資のもと、今後も収入増加が見込まれる。また、公共投資の40%が充当されているインフラ分野の成長も期待される。
    なお、米国は、対外貿易においてトルコを21世紀の有望市場として位置づけている。
    日本・トルコの新たな協力分野として、中央アジア諸国および環黒海経済圏でのプロジェクトの共同推進が考えられる。


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