レックスロート ドイツ経済大臣との懇談会/2月20日

経済改革と欧州統合を推進するドイツ


経団連では、レックスロート独経済大臣、ヘンケル独産業連盟会長他を招き、懇談会を開催した(豊田会長、関本副会長、樋口副会長、黒沢中東委員長、椎名社会貢献推進委員長、桑田日立製作所常務取締役出席)。席上、レックスロート大臣は、「ドイツは高い失業率が構造問題となっており、その改善に取り組んでいる」としてドイツの経済改革について説明した。またヘンケル会長は、同会長が取り組んでいる「対日イニシアチブ」の策定作業について説明があった。以下はレックスロート大臣およびヘンケル会長の発言および懇談の概要である。

  1. レックスロート大臣発言要旨
    1. 世界の政治・経済において、日独は重要な役割を果たしている。また、日独の抱えている問題には同じような問題が多い。したがって、日独が意見交換を行なっていくことは大変重要である。

    2. 日本経済は、アジア経済のみならず、世界経済の牽引車である。一方、ドイツは欧州統合において重要な役割を期待されている。それに応えるべくドイツは、欧州通貨統合参加のための経済収斂基準を満たすよう経済政策を行なっている。

    3. ドイツ経済の成長は鈍化しており、10%以上にのぼる高い失業率が問題となっている。ドイツの失業率の高さは構造的なものである。この構造問題を解決するために、多くの関係グループを協力して政策を推進していく予定である。具体的には、ドイツ企業の競争力を強化することが重要であり、そのために、
      1. 税負担の軽減、
      2. 現在の個人、企業への負担が大きすぎる社会システムの改革、
      3. 弾力性のある労働市場の実現、
      4. 規制緩和による小さな政府の実現、
      5. 将来を見据えた教育制度の改革、
      6. 起業家(特に中小の)の支援、
      を考えている。

  2. ヘンケル独産業連盟会長発言要旨
    1. 現在、ドイツ政府の対日イニシアチブ作りに携わっており、今回の訪日もその活動の一環である。対日イニシアチブ作りにおいては、過去何年も日本と付き合ってきた組織(BDI、日独ハイテク評議会、全独商工会議所、アジア太平洋委員会など)のリーダーに集まってもらい、知恵を出し合ってもらう予定である。

    2. このイニシアチブの目標は、日独間の国際収支を2000年までに均衡させることである。この目標は野心的なものであるが、設定した以上、精力的に取り組みたい。

  3. 懇談
  4. 樋口副会長:
    日本の金融問題に対するドイツ金融界の冷静な対応、為替問題へのドイツ連銀の協力的な姿勢には感謝している。

    関本副会長:
    昨年11月にドイツBDIと環境問題に関して共同声明を発表している。環境分野では今後、環境ラベル、ライフ・サイクル・アセスメント、環境パフォーマンス評価といった分野で規格作業が本格化することが予想され、経団連としては、ISOに専門家を派遣していきたいと考えている。


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