ロバート・リーOECD資本移動・国際投資・サービス課長との懇談会/2月14日

いよいよ山場を迎える多国間投資協定交渉


OECD資本移動・国際投資・サービス課のリー課長を迎え、国際投資・多国籍企業(CIME)/資本移動貿易外取引(CMIT)両委員会の活動、および6週間に1度のペースで進められている多国間投資協定(MAI)の交渉について懇談した。リー課長は、OECDへの新規加盟交渉の進捗状況や、MAI交渉をめぐる加盟国間の動き、非加盟国を対象とする拡大プログラム(outreach program)などについて、以下のように説明した。

  1. 東欧、韓国がチェコに続くか
  2. メキシコ(94年)、チェコ(95年)に続き、96年にはハンガリー(5月頃)、ポーランド(夏)、韓国の加盟が期待される。CIME/CMITはこれら諸国の加盟交渉に際し、資本の自由化、為替管理、外資への開放度などの審査を行う。
    メキシコの加盟後の通貨危機は、自由化に当たり適切な金融政策と財政部門のモニタリングが不可欠との教訓を遺した。
    欧州連合(EU)は、連合協定により享受してきた特権を失うことを嫌って、ハンガリーの自由化を他の加盟国に均霑することに消極的な姿勢を見せたが、OECDは、あくまでも無差別待遇を貫いている。
    韓国については、為替管理、自由化などの点で解決すべき問題が多く、加盟までには長い道のりが予想される。

  3. MAIをめぐる各国の思惑
  4. 米国は、MAIによってEUの域外差別待遇を封じ込めたいと考えている。一方、欧州は、情報通信分野などにおける米国の規制に対し、スタンド・スティル原則の適用を求めている。日本には、批判の対象となるフォーマルな投資障壁は少ない。ただし、現実には外国企業の参入が難しく、交渉が進む中で、民間慣行が問題だと指摘される可能性がある。
    米国は、対議会・産業界対策のために、「漸進的な自由化」を強く主張しており、交渉が2年目に入るとプレッシャーを強めてくると予想される。ただしMAI交渉は、ウルグアイ・ラウンドのような自由化の取引ではなく、各国が一方的・自発的に自国の自由化を提案することにより全体の水準を上げていく形でなければ、成功しないであろう。

  5. MAIと非加盟国
  6. MAIには、非加盟国との投資協定のモデルを示す役割も期待されている。97年半ばに交渉が終了した後に、主要な非加盟国10〜15カ国に参加を呼びかけることを考えており、その際、自由化の猶予措置を認めることも検討している。また、非加盟国との対話の一環として、96年3月末に香港で、ラテンアメリカ、アジアの主要国を対象にセミナーを開催する予定である。


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