資本市場をめぐる懇談会(司会 片田 資本対策委員長)/3月14日

資本市場活性化と規制撤廃について懇談


近年、規制緩和により資本市場の自由化が進展してきているものの、欧米諸国と比較して遜色のない自由な市場を形成していく上では残された課題も多い。そこで、発行会社、銀行、証券、保険の資本市場担当役員の出席を得て標記懇談会を開催し、資本市場をめぐり残された諸課題について意見交換を行なった。なお、市場活性化の一環として、自己株式の買入消却の促進を図る観点から、2月19日、大蔵省証券局の担当官を講師に招き、自己株式の買入消却に関する説明会(司会:福間 資本市場部会長)を開催した。

  1. 株式市場における残された課題
    1. 市場からの企業の資金調達は原則としてマーケットメカニズムに委ねるべきであり、ガイドラインにより需給調整を行うべきではない。時価発行公募増資に係る規制は早期に撤廃すべきである。同時に発行会社サイドでの自己規律の確保が必要である。
      エクイティファイナンスに関する株価審査規制は、機動的な発行を進める観点から撤廃すべきである。また、引受審査の際に提出を求められる資料についても、発行会社の負担軽減の観点から、できるだけ簡素化する必要がある。

    2. 自己株式の買入消却の促進は産業界にとって重要な課題であるが、米国と比較して自己株式の取得・保有規制が厳しすぎる。94年の商法改正により一部規制が緩和されたことは一歩前進といえるが、株主総会の決議を要することなく、取締役会の決議で発行を認める、取得財源を配当可能利益に限定することなく剰余金の範囲まで拡大する等、一層の規制緩和を進めるべきである。

  2. 社債・CP市場における残された課題
    1. 流通市場の整備を進める上で、社債の受渡し・決済制度の改善は重要な課題である。集中決済による事務手続きの効率化等を進めることにより、発行会社が負担する手数料を引き下げていく必要がある。

    2. 公募市場の整備がある程度進展してきた現在、私募債についても規制の緩和を進め、資本市場全体としての整備を図る必要がある。

    3. 社債の商品設計の自由化を進め、多様な商品が厚みを持って市場に出てくるようにすることが、ダイナミズムを持った市場とする上で重要である。また、企業の資金調達手段の多様化の観点からは、海外で一般的に認められているMTN(ミディアム・ターム・ノート)をわが国においても発行できるようにすべきである。

    4. リース会社の社債・CPによる資金調達については、資金使途、資金運用等において規制がなされている。機動的かつ効率的な資金調達を阻害しており、早期に規制を撤廃すべきである。
      市場を介在しない相対取引による間接金融よりも、格付等市場の判断を裏付けとした社債、CPによる資金調達の方が合理的である。


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