第25回中国地方経済懇談会/3月6日

中国地方発展ビジョンの実現に向け三海二山交流圏の形成を


中国経済連合会と共催により、標記懇談会を広島市において開催した。「21世紀へ向けての魅力ある日本の創造」を基本テーマに、(1)21世紀ビジョン、(2)今後の経済運営のあり方、(3)活力ある国土の形成と地域経済の活性化等をめぐり、意見交換した。
当日は、中国側から多田中国経済連合会会長ら地元経済人約250名が、経団連側より、豊田会長、鈴木・米倉・三田・末松・伊藤の各副会長が出席した。

  1. 多田中国経済連合会会長開会挨拶
    (中国電力会長)
  2. 中国地方は、地方中枢・中核都市圏の整備、産業の先端化・高度化、全国にさきがけて進行する過疎化・高齢化への対応などの諸課題に直面している。これらの課題について産学官が真剣に検討を重ね、地域の持つポテンシャルを十二分に活用するとともに、四国地方と連携・協力した総合的な戦略策定の必要性から、「中四国グランドデザイン」「中国地方発展ビジョン」を先般発表した。この提案を次期全国総合開発計画の中に反映すべく努力したい。

  3. 懇談
    1. 21世紀をめざした中国地方発展ビジョン
      深野和夫氏(中国経済連合会副会長/山陰合同銀行取締役相談役)
    2. 中国経連は、中国地方5県、広島市と合同で「中国地方発展ビジョン」の策定を進め、本年2月に発表した。同ビジョンは、中国地方が四国地方とともに「中四国経済文化交流圏」を形成していくことを狙いとしている。それには、従来の東西方向だけでなく、中国山地と四国山地という2つの山を越えて、日本海・瀬戸内海・太平洋という3つの海に広がる「三海二山交流圏」を形成する必要がある。

    3. 地方分権と規制緩和の推進
      橋本宗利氏(中国経済連合会地域振興委員長/広島ホームテレビ社長)
    4. 自由で活力ある経済活動、個性ある地域の実現のためには、地方分権と規制緩和の推進が不可欠である。従来の秩序の変革であり大きな痛みを伴うが、次世代のため避けて通れないものとして、断行しなければならない。本質的な規制の緩和は、行政指導システムを改めない限り不可能である。

    5. 中国地方経済の現状と課題
      岸田俊輔氏(中国経済連合会副会長/広島銀行会長)
    6. 中国地方経済は、若干回復の兆しはみられるものの、依然厳しい状況にある。今後、同地域が発展を遂げるためには、既存の産業の高度化と新産業の創出が不可欠であり、そのためには、規制の緩和や人材の育成、起業化促進のための金融・税制面の支援措置が求められる。また、雇用問題や中小企業の支援について、経団連にも積極的な取り組みをお願いしたい。

    7. 創造的で新たな産業発展
      米原正博氏(中国経済連合会副会長/鳥取大丸社長)
    8. 製造業の空洞化が進む中で、今後特に創造性ある理工系人材の育成が急務である。中国経連では、95年9月に「理工系人材の育成に関する提言」をとりまとめたが、これは、(1)初等・中等教育の工夫・改善、(2)研究者・技術者の処遇改善、(3)産学官の人材育成ネットワークづくりを主な柱とした提案である。また産学官の共同研究推進のため、「技術振興連絡会議」を設置し、本年度は「共同研究開発検討委員会」の開催等の活動を展開することにしている。

    9. 産業発展の環境整備
      竹林 守氏(マツダ副社長)
    10. 早期に科学技術予算を倍増し、地方への配分増を図るべきである。これにより、地域の研究機関・教育機関の充実・強化に取り組むべきである。加えて、地方への研究開発機能の移転が促進されるよう、経団連にも協力願いたい。

    11. 多様で重層的な交流軸の形成
      伊原木一衛氏(中国経済連合会副会長/天満屋社長)
    12. 中四国地方では、三海二山交流圏の形成を目標としており、その重要な基盤として中四国を南北に結ぶ地域連携軸の形成を進めることにしている。この地域連携軸と3本の国土軸(日本海・西日本・太平洋新国土軸)の連結により、多極・多軸・循環型の地域構造を構築することが期待できる。本構想が新しい全総計画に明確に位置づけられることを希望している。
      さらに、空港・港湾の整備により、同地域が環日本海、環黄海、環太平洋といった国際交流圏の一翼を担うことが期待される。

    13. 瀬戸内海交流圏の形成
      仁田一也氏(中国経済連合会 瀬戸内海委員長/瀬戸内海汽船会長)
    14. 中国経連では、中国地方5県知事および広島市長とで「中国地方発展推進協議会」を設けており、「生産」「居住」「交流」が調和した「瀬戸内海交流圏の形成」を提案している。具体的には、(1)広島、岡山等の中核都市間の連携強化による「瀬戸内海連環都市群の形成」、(2)自然環境の回復と保全を推進する「ハイアメニティリゾートの創出」を求めている。「世界の瀬戸内海」を目指し活動を続けることにしており、経団連の協力を得たい。

    15. 社会資本整備の機会均等
      大谷昌行氏(中国経済連合会 日本海委員長/一畑電気鉄道社長)
    16. 日本海沿岸地域は、社会資本整備が遅れている。例えば島根県では、県境から県庁のある松江までの移動に3〜4時間もかかる。また、山陰自動車道の整備も進まず、このままでは、完成まであと25年はかかる。
      公共事業の重点配分や特別措置を講ずるなどして、日本海側の社会資本整備を促進し、地域間格差の解消を急ぐべきである。

    17. 中四国の一体的発展
      松谷健一郎氏(中国経済連合会名誉会長/中国電力取締役常任相談役)
    18. 瀬戸内海には県境を持つ島が多く、地域としての一体性が損なわれている。ただでさえ関西と九州に分断されている面があり、中国と四国の間には境界を設けず、一体として発展させていくべきである。

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