東海地方経済懇談会/3月7日

魅力ある地域作りに向け中部新国際空港・21世紀万博・首都機能移転を推進


中部経済連合会、名古屋商工会議所と共催で、標記懇談会を名古屋市にて開催した。「21世紀へ向けての魅力ある日本の創造」をテーマに、今後の経済運営のあり方、地域経済の活性化策などについて、意見交換した。
当日は、東海側より、安部中部経済連合会会長、谷口東海商工会議所連合会会長をはじめ、地元経済人約200名が、経団連側より、豊田会長、鈴木・米倉・樋口の各副会長、弓倉競争政策委員長が参加した。

  1. 谷口東海商工会議所連合会会長挨拶
    (名古屋鉄道会長)
  2. 雇用問題、為替の動向、中小企業での景気回復の遅れなど、景気の先行きへの不安は依然として残っている。景気回復のためには、96年度予算の年度内成立と、着実な執行が重要である。同時に、経済界自らが活力ある経済社会の創造に努力する必要がある。経団連がリーダーシップを取ってほしい。
    東海地域でのキープロジェクトは、中部新国際空港、21世紀万国博覧会、首都機能移転である。特に、首都機能移転は重要な課題であり、「新首都『中部』推進協議会」を設置し、首都機能移転の実現に向け、地域一体で取り組んでいる。経団連にも支援を願いたい。

  3. 意見交換
    1. 東海経済の現状と活性化
      坂崎重雄氏(多治見商工会議所会頭/前畑陶器会長)
    2. 東海経済は、公共投資、住宅投資の拡大等により、穏やかな回復軌道にある。しかし、雇用は依然として厳しく、中小企業の業績回復も遅れている。公共投資を中心に景気てこ入れを政府に働きかけてほしい。
      地域活性化のためには、規制緩和の推進が肝要である。持ち株会社の解禁、ベンチャー企業の資金調達、情報通信などの分野で、規制緩和を優先させると同時に、中小企業にとっても、成長・発展が望めるような、バランスのとれた推進が必要である。
      また、新たな活力を生み出すために、新産業の育成と、既存産業の国際競争力強化が望まれる。そのためには、資金・情報面での基盤整備と、産・官・学の密接な交流が必要である。

    3. 空港整備と地域連携軸の形成
      須田 寛氏(中部経済連合会副会長/東海旅客鉄道会長)
    4. 中部新国際空港については、昨年8月の第7次空港整備五箇年計画の中間とりまとめにおいて、計画期間内の事業着手が認められた。さらに地元では、早期事業着手に向け、昨年12月に国、自治体、経済団体および中部空港調査会の代表者から成る「中部新国際空港推進調整会議」を発足させ、具体化のための諸課題について今年度中に結論を得るよう努めている。
      中部地域は、(1)国土の中央にあり、(2)幅が広く、(3)適度な集積を有しているという特徴に加え、3本の国土軸の結節点に位置しており、交通基盤・情報通信網の整備によりこれらをつなぐロータリーとしての役割を果たすことが期待される。
      さらに中部新国際空港の建設により、国際軸の構築が図られ、交通、文化、技術、情報の交流が拡大することとなろう。

    5. 21世紀万国博覧会の開催実現について
      西川俊男氏(名古屋商工会議所副会頭/ユニー会長)
    6. 21世紀万国博覧会については、豊田経団連会長が「21世紀万国博覧会全国推進協議会」会長に就任し、12月には閣議了解を得ることができた。通産省の「予備調査検討委員会」が昨年12月にとりまとめた最終報告では、「新しい地球創造〜自然・文化・技術の交流」が開催テーマとして打ち出され、本年4月には政府がBIEに開催申請を行うことになっている。
      開催国は早ければ6月のBIE総会で決定される見込みであるが、既にカナダ政府がカルガリー市を開催地として立候補を表明しており、誘致競争は厳しいものになろう。地元は一致団結して開催実現に取り組むことにしており、特に諸外国に対する誘致活動等について経団連の一層の支援を得たい。

    7. 首都機能移転について
      西垣 覚氏(中部経済連合会副会長/東海銀行頭取)
    8. 地域が主体となる地域開発を可能とするためには、審議会委員の構成見直しなど地方の意見が反映される仕組みづくりと併せて、地方への権限・財源の委譲が求められる。
      新しい全総計画は、社会資本整備の総仕上げとなるものであり、優先順位を決め、重点的に整備を行う方針を確認する必要がある。中部地域は、産業・技術・研究開発の国際的交流拠点として位置づけ、そのための基盤整備を推進することが望まれる。
      また、四全総の基本理念である「東京一極集中の是正」「多極分散型国土の形成」という理念は継承されるべきである。国土審議会計画部会の「基本的考え方」では第一国土軸の過密が指摘されているが、問題は首都圏の過度の集積である。
      首都機能の移転先については、未開発の白地の地域とした場合、巨額の建設費が費やされ、その他の地域の社会資本整備が後回しにされかねない。その点で、中部地域は適度な集積がバランス良く配置されており、他地域からのアクセスも良いなど、新首都の最適地であると考える。
      中経連も参加している西日本経済協議会は、中部地域を新首都の適地として認めており、また地元では、昨年12月に中部5県の経済団体が中心となり、地元自治体、学識経験者の参加・協力を得て「新首都『中部』推進協議会」を設立したところである。
      経団連には、首都機能移転に対するコンセンサスの形成に努めるとともに、中部の活動に対する理解と協力をお願いしたい。


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