日本ブラジル経済委員会(委員長 齋藤 裕氏)/2月28〜29日

第6回日本ブラジル経済合同委員会を開催


日本ブラジル経済委員会では、2月28日・29日の両日、ブラジルのサンパウロにおいて第6回日本ブラジル経済合同委員会を開催した。日本側からは齋藤団長、室伏稔副団長はじめ142名が、ブラジル側からはベゼーラCNI会長はじめ165名、その他に大蔵、企画、商工観光、環境、教育の5閣僚が出席し、レアル・プラン導入後のブラジル経済、ブラジルの民営化プログラム、両国間の貿易・投資をめぐる展望、メルコスールと両国関係の展望などをめぐって建設的かつ実りある意見交換を行なった。また、齋藤団長ほか一部団員は、3月1日にブラジリアにてカルドーゾ大統領、マシェル副大統領ならびに農業、通信、鉱山動力の3閣僚を表敬訪問し、各閣僚より今後の経済政策についてそれぞれ熱のこもった、かつ具体的な説明を受けた。
2月29日に採択された共同声明文は以下の通りである。


齋藤委員長

第6回日本ブラジル経済合同委員会
共同声明

1996年2月29日
於 サンパウロ(ブラジル)

  1. 第6回日本ブラジル経済合同委員会は、日伯修好100周年を記念する事業の一環として、1996年2月28日・29日、ブラジル連邦共和国のサンパウロにおいて開催された。日本側からは齋藤裕経団連日本ブラジル経済委員会委員長を団長とする130名、および政府関係者12名、ブラジル側からはフェルナンド・ベゼーラCNI(全国産業連盟)会長を団長に165名が参加した他、マラン蔵相、セーラ企画相、ウェルネック商工観光相、クラウゼ環境相、レナト教育相ら13名の政府関係者も出席した。

  2. 双方代表団は、まず両国の経済の現状を各々説明したのち、伸長著しいブラジル経済の展望について意見交換を行なった。この中でマラン蔵相は、カルドーゾ政権の下でレアル・プランの導入によってインフレの鎮静化を図り、経済が安定化しつつある点を強調し、また、市場の自由化、国営企業の民営化、税制改革、行政改革、社会保障制度の改革など、構造改革が着々と進展しつつある旨、言及した。これに対して日本側はかかる新政策を高く評価するとともに、今後とも憲法改正ならびに関連法案の審議が順調に推移し、初期の目標が達成されるよう期待を表明した。

  3. 引き続き双方代表団は、ブラジルの民営化政策について話し合った。民営化プログラムの進捗状況についてセーラ企画相より説明がなされ、日本側はブラジル政府の民営化に対する真剣な取組みに理解を示した。企画相は、今後、鉄道、電力、炭化水素部門において順次民営化を予定している点を説明したのち、特にリオドセの民営化プログラムにふれつつ、民営化プログラム全般への日本側の積極的な参加を期待する旨述べた。日本側は、ブラジル側の意を十分認識しており、ブラジル側に対してこれら部門の方法、規模、事業性等について明らかになることが重要であるとの見解を示した。

  4. 両国間の貿易・投資の拡大に関しても意見を交換した。今後の日伯経済関係増大のため、双方が協力すべき重点分野として資源立地型産業(鉄鋼、紙パルプ、アルミニウム、農産加工)、内需成長産業(自動車および部品、電子製品、化学)、民営化プログラムへの対応、社会インフラ整備関連および農畜産物などの分野が指摘され、相互の意見が一致した。特に日本の対伯投資に関して、ブラジル側は日本に対する強い期待を表明したが、日本側は日本経済の回復が足踏みをしている中、短期的には急速に増大するとは考えられないものの、中長期的にはブラジル経済の安定、拡大により徐々に増大していくとの見方を示した。その中で、本田技研工業をはじめとする日本企業の進出、およびペトロブラスに対する新精油所の建設への協力など、具体的な案件について紹介した。

  5. 会議において、環境問題、教育政策、更にはメルコスールについてもテーマとして取りあげ意見を交換した。ブラジル側から、メルコスールの発足によって市場規模が拡大する一方、域内各国の競争が一層強まり、民間企業としても目下、国際競争力が強化されつつあるとの説明があった。日本側からは、メルコスールの成立が中南米における製造拠点としてのブラジルの存在意義をより一層高めており、将来的に対ブラジル投資の積極的要因になりうることを強調した。

  6. 双方代表団は、技術研修、品質および生産性の向上などの分野において、両国における関連諸機関が過去に顕著な成果をあげてきた共同の努力が、今後とも継続することが重要であるとの認識を共有した。

  7. 今次合同委員会は、日伯修好100周年記念行事の締めくくりにふさわしく、極めて友好的な雰囲気の中で率直な意見交換が行われ、21世紀を見据えた新しい両国経済関係の一層の発展に向けて成果の多い会議であったとの認識で一致した。

  8. 会議を終えるにあたって日本側は特に、3月中旬のカルドーゾ大統領の訪日に言及し、大統領の訪日を大いに歓迎する意を表明するとともに、同訪日によって両国の友好の絆が更に強く結ばれることを希望した。

  9. 双方代表団は民間ベースのこの経済合同委員会の果たす役割の重要性に鑑み、今後とも絶え間ない会合の開催を約するとともに、次回第7回会合を双方都合の良い時期に東京で開催することに合意した。


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