グッデイル カナダ連邦経済政策委員長との懇談会(委員長 江尻宏一郎氏)/3月8日

断固たる決意で財政赤字削減に取り組むカナダ


カナダ連邦経済政策委員長を務めるグッデイル大臣を迎え、3月7日に連邦下院に上程された96年度予算を中心に、連邦政府の経済政策、カナダ経済の状況について懇談した。大臣によると、連邦政府の決意をもった、着実な、責任ある財政赤字削減政策により、経済は回復基調に向かっている。大臣はまた、規制制度改革を通じた経済成長、雇用創出の実現により、強力かつ近代的な「統一カナダ」が確保できると強調した。
以下は大臣の説明の概要である。

  1. 断固たる決意
  2. 後戻りのない、断固とした財政赤字削減政策により、97年度に単年度赤字は対GNP比2%への低下が期待される。さらに政府債務残高も97年度には74年度以来初めて下方基調に向かうと予想される。
    連邦政府のみならず、州レベルでも財政赤字対策が進められており、今後1年間で10州のうち8州で財政均衡または黒字が達成される見込みである。

  3. 着実な計算
  4. ここ数年来の予算は即効性や奇跡的な効果を狙うものではない。恒常的、持続的な変化をもたらすべく着実に計算されている。
    その結果、短期金利は3%ポイント低下し、インフレは低めで安定、競争力、特に単位当たり労働生産性の上昇が著しい。カナダ経済はカーブを曲がったといえ、今後は回復基調に乗るであろう。

  5. 責任ある政策
  6. われわれは、経済・社会のニーズに合った政策を立案しており、財政問題に対しては、バランスのとれた着実、明確な対応を心がけている。財政問題の解決に不可欠な国民の支持を確保するために、将来への不安を解決すべく、予算のターゲットを公的年金制度改革に絞った。
    また短期的に最大の不安要因である失業問題の解決策として、(1)若年層、(2)技術、(3)国際貿易に的を絞った、現実的な雇用創出アプローチを打ち出している。雇用創出には民間部門との協力関係が不可欠である。

  7. 規制制度改革に焦点
  8. 今ひとつ重要な政策課題は、規制制度改革である。法・規制を通じて国民の健康、安全、国家利益、環境などを守ることは、政府の責任である。しかし同時に、競争力を強化し、経済成長、雇用創出を図るために、法・規制の見直しが必要である。

  9. 「統一カナダ」への自信
  10. ケベック州独立をめぐる95年秋の住民投票の結果は、「統一カナダ」の勝利を示した。以上述べたような財政赤字削減、経済成長、雇用創出を実現するとともに、連邦と州の間で政府権限の再編成を行なうことにより、強力、近代的かつ統一的なカナダを確保することができると信じる。


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